再び「お祭り」の季節がやってきました。私にとって初回だった前回は、安い席だったけど、時間の使い方だけは贅沢に過ごして、目から鱗がバラバラ落ちて、その果てに今の自分が居たりします。今回はといえば、半端な席に強行日程(日帰り)、でもやっぱり楽しかった。放っておいたら絶対観ないようなダンサーや演目が、凄いクオリティで揃ってるんですもん。

 もちろん、前回に比べるとすこし、ダンサーの粒が小さい印象もあるし、全体的に軽めのダンサーがクラシックを踊っていたので、古典で重石になれるダンサーが足りなかったとは思います。その代わり、色んな国の色んなバレエ団からダンサーが来ていて「世界バレエフェスティバル」の名前には相応しかったかもしれません。

 フェスティバルの意義とか、難しいことを言い出せばキリが無いんでしょうけど、ただ個人的には楽しかったな、というだけですべてですから。

 

◆ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス「ラ・ファヴォリータ」

くせのないクラシックでした。幕開けには似つかわしい演目なんでしょうね。一つ目にあまり強烈なのが来たり、いきなり大物を出しすぎるわけにもいかないから。その分、振付でも彼らの個性としても強い印象が残せなくて、割を食った感もありますけどね。それが彼らのポジションであり実力、っていう部分も大きいでしょうけど。

ただ…これって原案はドニゼッティのオペラですよね?あの悲劇ですよね?どこの場面にこんな軽やかで楽しい箇所が?!というだけが謎です。

 

◆ニコラ・ル・リッシュ「7月3日 新しい日、新しい人生」

今日の今日まで、観てきた中で一番分らなかったのは、前回フェスで観たギエム&ニコラの「アパルトマン」でしたが、この演目に変更します。誰かこの作品の解説をしてください。ええ切実に分りません。意味も分らないし、ラインはなんだか半端な印象を受けるし、動きそのものを観るという快楽さえない。長い。正直言って苦痛でした。ベランガールの振付には否定的な評判を聞いていましたが、まさかこれほどとは思わなかった。ニコラ何を考えたんでしょうね?

ただ観ているだけでは耐え切れなかったので、観ながら考えた薀蓄を少々。この振付は、乱暴に振り分けるなら「ダウナー系」で、雰囲気も内に籠るんですね。一方、ニコラの個性はと言えば、精神性と身体性なら、後者に傾く。発散系の、爆発的なエネルギーを感じさせるダンサー。前回フェスだったら、「優しい嘘」と「マノン」ではそれらが効果的に発揮されていたし、ダウナー系(多分)の「アパルトマン」は…だから私には分りにくかったんだろうけど、作品自体の完成度が高かったので「ダンサーの性質とは違うこと」をさせても面白かった。

だけど、この作品にはその「完成度」が無くて、思いっきりニコラの個性を殺してしまった感じがあります。 …というか、ジェレミー!この程度の腕前で偉そうに、人様に作品を公開するんじゃねー!  すいません疲れました。

 

◆タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ「白雪姫」

最初に、イナキを見直しました。というか、やはり前回は相当、不調だったんだね、と思いました。今回の彼は、普通にラテン系のダンサーで、観ていて気持ちよかった。

しかし、やはり圧巻はロホのフェッテ。可愛らしい雰囲気の作品で、前回のような豪快な回転ではなく、雰囲気事体は楚々としたもの。だけど、回りながらどんどん前に進んでくる、その軌跡が見事に一直線なんですよ。何しろ床板の切れ目に沿って進んでましたから、一目瞭然。その上トリプルまで織り交ぜてくれるんですから、心底凄いと思う。

 


◆ジョエル・ブーローニュ&アレクサンドル・リアブコ「椿姫」より黒のパ・ド・ドゥ

いいものを観ました。このパ・ド・ドゥを観ていて、こんなに美しいと思ったことは無かったですね。ビデオで観たハイデ&リスカも、生で観たルディエール&ルグリも、情念とドラマが浮き上がって、音楽が消えてしまった。それはそれで凄いことなんですが、ブーローニュとリアブコは全身でショパンのピアノを奏でながら、物語を織り成していた。音楽が物語に聞こえてくるんです。それから、ラインが非常に美しい。無音で観てても飽きないでしょうね。ノイマイヤーの振付が彼らの血肉になっていて、驚くほど自然に、動きが流れていく。確かにドラマなんだけど、ドラマの濃さが動きを阻害しない。どれが本当なのか、もちろん知りませんけど、「これが椿姫だったんだ」という、凄い納得感がありました。

印象的だったのは、真っ直ぐにブーローニュを持ち上げるリフト。背中に背負うものもありましたよね。あれが「磔」に見えて仕方なかった。これが、このマルグリットとアルマンの関係性なんでしょうね。ハイデ&リスカの、あのどん底の情念ではない。ルディエール&ルグリの切ない純愛でもない。鋭く斬られて血を流す恋愛関係。だけど、そこから何か、崇高で痛みのあるものが立ち上がってくる。そんなドラマ。

これを観た時にやっと「おお、世界バレエフェスティバルだ」という実感がひしひしと湧いてきました。

 


◆ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル「ロミオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ(クランコ版)

フェスに来ると、毎回新しい「ロミオとジュリエット」が現れます。ラヴロフスキー、ノイマイヤー、マクミランときてこれでクランコだから、メジャーなところは出尽くしましたね。きっとこれで最後でしょう。

しょうもない話はさておき、この二人は存在そのものがロミオであり、ジュリエットですね。爽やか清純派カップル。無邪気、無鉄砲で、手を取り合ったまま駆け出したら、星を取りに空まで駆け上がってしまいそう。振付事体は特に面白いものでもなかったんですけど、この二人の個性だけで、十分観られました。あと、振付以外のディテール…例えばバルコニーから駆け下りようとするジュリエットをロミオが止めて、抱き下ろしてしまうシーン。恋する少年の本音ですよね。早く手を伸ばして触りたい、という気持ちと、格好を付けたい気持ちと。それをさも自然に、爽やかに可愛くやってしまうフォーゲルは貴重なダンサーです。これ見よがしな赤いマントを広げて走って来ても「莫迦かお前は」と突っ込むよりは「早く見つけて欲しいんだよね」と微笑ましく見えてしまうし。

ちなみに最も印象的だったのは、一番最後、うっとりと星空を見上げるポリーナ嬢の姿。そのままジュリエットと同化して、夜空に溶けていきそうな美しさでした。

 


◆レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ「エスメラルダ」

消化不良気味かと…前回、ルテステュとマルティネズがやったものが、あまりにきりりと引き締まって格好良かったので、その印象が三年経っても払拭できず、彼らの動きがやたら半端に見えてしまいました。それだけが感想で非常に申し訳ないのですが、いまいち、ぱっとしたところが無かったなぁ…

 


◆アリーナ・コジョカル&フィリップ・バランキエヴィッチ「オネーギン」より鏡のパ・ド・ドゥ

そういえば、バランキエヴィッチの二枚目を見るのは初めてですね。前回がコーラスにレ・ブルジョワにペトルーキオだったから。端正でくせのないオネーギンです。そしてアリーナ嬢、まさしく恋に恋する少女の可憐さで、タチアナが板についてました。

面白かったのは、オネーギンがタチアナの後ろについて回る、暗い影のように見えたこと。ある意味では、彼ってそういう存在ですよね。田舎とはいえ裕福な家に生まれて、名家に嫁いだタチアナの、青春の傷というか。色の使い方もそうなんだけど、基本的に彼らは向き合わないで、オネーギンがタチアナの後ろに張り付くように動く。結局タチアナはオネーギンを観ていなかったとも言える。逆も然り。だからあなたたちは、永久に繋がりあうことは無い。そんな風に深読みできる振付は大好きです。

 


◆アニェス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネズ「ジュエルズ」よりダイヤモンド

出てきた時から空気が違いました。存在感の桁が、これまでのダンサーとは違う。思わず、姿勢を正してしまいました。さっと手を払っただけでエレガント。「ダイヤモンド」という言葉の割には抑えた振付ですが、この二人がやると、抑制が利いて美しい輝きを放ちます。これがエトワールであり、これが超一流のバレエという、素晴らしいまでの納得感。最初から豪華なオーラを振りまくタイプではないだけに、この落ち着いた存在感、高級感がしっくりときました。バランシンの割りに音楽は印象に残らなかったけど、そんなの小さなことです。これだけの踊りを観られれば、文句なしに幸せ。

 

◆イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ

会場が「これぞフェス」という盛り上がりを見せたのは、これが始めてだったでしょうか。随分スロースターターだったんだな(苦笑)

カレーニョは私が昔、バレエに興味を持ち始めた頃、初めて見たジークフリードでした(パートナーはスーザン・ジャフィ)。あの頃と変わらない丁寧なサポート、そして、誰よりも安定した鮮やかな回転は、何度観ても溜め息が出ます。

イリーナのオディールは、手練手管の悪女というよりも、我儘お嬢様で、結果的に相手を翻弄する感じ。コケティッシュで若々しい小悪魔ちゃんでした。踊り事体は可も無く不可もなく、というところでしょうか。ただ、フェッテは盛り上がりましたね。あれは後ろにカレーニョが控えているから、というのも大きいでしょう。「待ってたんだよ、とうとう来たよ!」という期待も込めてのハイテンション。会場のこういう雰囲気は、けっこう好きです。

 


◆オーレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ「扉は必ず…」

今回のベストヒット、むしろ過去最高のコンテンポラリー作品。この演目だけでも、遥々地方から押しかけて、高いチケット代を払った価値がありました。ローテンションでブラックな大人のユーモアがあり、二人の豊かなセンスが光る。素晴らしい作品です。

元になった絵が絵だし、オーレリーだし、セクシュアリティを強調した作品を想定していたんですが、それよりも寧ろ、ヴァトー・プリーツのドレスに隠された「身体」の存在感が凄まじかった。ラインは殆ど見えないのに「確かにそこにある」という生の感触。これがオーレリーの、無二の個性ですよね。

幕が開くと、薄暗いベッドルーム、上手にオーレリー、下手にルグリ。なにやら剣呑な雰囲気が漂い、オーレリーはいきなり花瓶をぶちまけます。逃げたいルグリと許さないオーレリー、でも発生するのは、そんなに単純じゃない出来事ばかり。ユニゾンの動き、絡むと見せてそうでもない動き、自由自在に動く美しい「肉体」。

ラインだけでも飽きない作品ですが、端々に散りばめられた黒い笑いが何より秀逸で、とりわけ「複数回繰り返して、最後に落とす」というベタな動きが、非常に効果的に用いられていました。例えば、閂を開けようとするルグリと、阻止するオーレリー。出て行こうとするルグリと、引きずり戻すオーレリー。でも最後には、なぜかオーレリーが出て行って、ルグリが引きずり戻す。花束を投げつけあう二人。双方ともまったくお互いを見ていないのに、投げられた花は綺麗な放物線を描いて、定められた場所にきっちり収まるんです。でも、一回ごとに微妙にニュアンスが違う。怒っていたり、やけくそだったり、面白半分だったり…挙句に二人は、ぶち切れてお互いに椅子を持ち上げます。一転、修羅場の予感。でも、何も起こらない。気持ちよいまでの肩透かし。

けっこう長い作品だったと記憶していますが、一瞬たりともだれず、飽きなかった。しばらくなら毎日観てもいいかもしれない、とさえ思いました。ところどころに小さい「オチ」があったり、動きにアクセントが利いていたりして(ギュギュギュ、というノイズに合わせてわざとらしく横にスクロールする動きとか)、客にも親切な振付ですし。

結局二人は部屋を出ず、最後は暗くなったベッドルームの真ん中で林檎を齧っています。この、色んな意味で濃密そうな恋人たちは、きっと明日も、こんなことを繰り返すのでしょう。

因みにこの二人は、カーテンコールまでサービス満点でした。ルグリが突然、作中によく出てきた、真横に滑る動きで出てきたり、緞帳の間から突然花束が投げられたり、最後はオーレリーの足元にスライディングして花束を渡していたり…要はルグリがわけわかんないほどご機嫌でした。

 

◆マイヤ・マッカテリ&ダヴィッド・マッカテリ「眠れる森の美女」

先入観があるからか、どう頑張っても「お兄ちゃんと妹」に見えました。まあ、ある程度はそれが「微笑ましい」というプラス要素に働いた面もありましたけどね。妹のマイヤさん、こぢんまりした可憐なオーロラで、お姫様の存在感は無かったけれど、とにかく可愛かった。兄の方は、はっきりとイギリスのダンサー。チャプキアーニの教え子というけれど、ロシア流の痕跡は無かったし、良くも悪くもグルジアの匂いはしなかったな。

 

◆ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス「コンティニュウム」

この二人だけ、二回登場なんですね。でも、これだけでも良かったかも、と思います。ウィールドンの振付は、動きの面白さだけである程度観られるから、不必要に地味になることがない。例えば、一番手をロホ&イナキに任せて、彼らを出さないという選択肢もあったような気がします。元々、大袈裟な華やかさは無いダンサーだけに、彼らは一番手で損をした感がありますもの。

 

◆ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ「ライモンダ」

ステパ姐さんが無事に出てくれて、本当に嬉しかった。そして、流石の貫禄でした。最盛期のような「カッ飛ばし」は無いけれど、安定感は抜群。最後の片手を上げたピケ、お見事でした。

ただ、相手役はメルクーリエフではないんだよなぁ…という印象が強烈に残っています。彼もいいダンサーで、過不足ないジャンなんだけど、じゃあこの二人が組むことで何かプラスアルファがあるかというと、決して無い。元々彼はマリインスキーから移籍してきたばかりだし、一緒に踊ったことがあるんでしょうか?ボリショイとしては彼を売り出したい意向だったかもしれないけど、もうすこし地味でもいいから、姐さんが慣れている相手を選ぶことが、この際大事だったのでは。そもそも彼は、非常に爽やかで軽やかな持ち味なので、重量級の姐さんとはクラシックでは合わないのではないでしょうか。「カルメン」とかなら違うかもしれないけど。

この時、非常に強烈に、アンドレイの不在を感じましたね。あ、メルクーリエフもアンドレイか。とにかく、ウヴァーロフがここに居たら、古典にひとつ、要が出来たんじゃないかと思うんです。というか、秋には来てくださいね〜(切実)

 

◆アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー「春の声」

あるいはこの二人に、何かクラシックをやってもらう、という選択肢もありましたね。「くるみ」とか。これはこれで、とっても可愛らしくてアリーナ嬢には似合うし、ロイヤルの人間がアシュトンを踊るのはそれなりに理が通ることではありますが。

というか、この作品はアリーナ嬢の可憐さがすべて、という感じが。人畜無害の爽やかな雰囲気で、一番最初、リフトされたまま花を散らす、あの笑顔が凶悪なほど愛らしい。私、時々アリーナ嬢の笑顔を観ていて、ある友人を思い出します。同級生の中で一番可愛くて、一番手に負えなかった天然危険物の不思議ちゃんを。

あと驚いたのは、コボーが割と普通だったこと。どうも私には「コボー=イッちゃってる人」という印象が強いもので。

 

◆アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー「カルメン」より寝室のパ・ド・ドゥ

作品のセレクトが上手いな、と思いました。フェリの身体に負担をかけすぎず、ほどほどに踊りながら、たっぷりと演じる。演技派二人の真骨頂でした。

プティ版だと、振付がかなりスタイリッシュなので、ホセは原作通りの無骨な青年ではなく、それなりに遊び人で、ヤクザ者で、という感じになるんでしょうね。ロバートの演技の仕方もそんな感じ。これまで「マノン」や「ジゼル」で見せた折り目正しさではなく、荒っぽくセクシーな不良青年ぶり。目線ひとつとっても、血の香りがしそうです。呼吸をするのと同じくらい自然な変わり身に、彼の演技力の素晴らしさを感じました。

一方のフェリは、黒いビスチェから惜しげもなく覗かせた脚が、非常にコケティッシュ。リフト等で暗がりに浮かび上がったラインが、ぞっとするほど美しかった。そして、そびやかす肩の線、その肩ごしの流し目と、隅から隅まで、ロバートよりも一枚上手の悪魔ぶり。よほどのことが無い限り、彼女を観るのはこれで最後のような気がしますが、最後にいいものを見たな、と思います。

 

◆シルヴィ・ギエムTWO

跳躍禁止、回転禁止、動いていいのは2メートル×2メートルの狭いスポットの中だけで、その範囲さえ薄暗い。そんな、極度に限られた空間に、ギエムという強烈極まりない存在がある。それだけでもう十分、という感じでした。そこまでの制限の中で、彼女は見事に場を圧し、会場を制した。その支配力は、流石。時折、翻った掌や足先に光が当たるのですが、その一瞬が、戦列に網膜に焼きつく。ギエムの力に引き寄せられて、じっと目を離せないまま、凄い集中力で観きりました。それが何だか知らないけど、彼女はギエムで、ギエムは最強。それ以上の説明は不要。問答無用でそんな気分です。

 


◆ジル・ロマン「ベジャールさんとの出会い」

作品としては駄作だと思う。ベジャールの幾つかの作品のコラージュで、全体的に散漫な印象。ロープがぞろっと落ちてくる辺りは、「ああ、『孤独な男のためのシンフォニーね』」と即座に思えて、そこで冷めてしまった。ある意味、その散漫な作品を、一応は通しで見せられる、ジル・ロマンの存在感を観るものだったかもしれません。これで飽きなかったのは、紛れも無く彼の力ですよ。でも、それにしてもせっかく彼ほどのダンサーを置くんだったら、もっといい作品が観たかった。

 

◆ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジミール・マラーホフ「マノン」より沼地のパ・ド・ドゥ

何度観ても私とは相性の悪いマラーホフですが、今回の演技部分に関しては、それなりに迫ってくるものがあったかな。踊り部分に関しては…この期に及んでまだエロスを放つヴィシニョーワに恐怖を感じました。良いことなのか悪いことなのか分りませんけど、このマノンなら、まだこの状況から男を翻弄できる(ある意味、このデ・グリューがそうなのか)。この二人の「マノン」は、通しで観ると面白いかもしれませんね。

 

◆ヴィエングセイ・ヴァルテズ&ロメル・フルメタ「ドン・キホーテ」

超重量級の四部ラストに配置された、日本ではわりと無名な彼らが、どうトリを飾るのか、非常に不安で心配でしたが、大健闘だったと言っていいでしょう。出来る限りの技術を尽くして、会場を盛り上げた。もちろん、こういうのは好きな人も嫌いな人も居るでしょうし、明らかなやりすぎではありました。でも、彼らとしても、惨めなオマケにはなりたくないわけでしょう?それで、使える技があったら、全部やってでも会場を盛り上げて終わらせないと。その心意気には拍手を贈りたい。

それにしても、何と派手なコーダだったことか。5秒超のバランスが三回ですよ!しかも、うち二回は、バランスを取ったまま脚を姿勢を変えた。いつも必ず、会場がどよめくまで、ポアントを微動だにさせなかった。キープ力だけなら、既に女王ニーナを超えてます。とどめのフィッシュ・ダイヴは頂点で両手を離して、そこから逆落としにしましたしね。全幕でこれをやったらブーイングものだけど、「フェスティバル」なんだから、目くじら立てないで面白がることにしました。というか、これだけ続いた後で、スター級の華やかさを持たない彼らが、ちゃんと公演を落とせただけでも、凄いことですよ(前回、コホウトコヴァとイナキは失敗してますもん)。

 

 

すべて観終わって「多分、次回も来るだろうな」と、なぜか思いました。多分「お祭り」だから、三年に一回くらい、超豪華幕の内弁当を堪能するのもいいな、と思ったんでしょうね。こうしてフェス常連が一人、出来上がるのです。

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