マイヤ・ウソワ&アレクサンドル・ズーリン(ソ連)

【主な成績】

94リレハンメル五輪銀メダル、93世界チャンピオン、93欧州チャンピオン

 

 物語を織り成す、という言葉が相応しいカップルです。流れる動きの中からストーリーが立ち上がる。でもそれは「劇的」という言葉から連想される重さではなく、寧ろ流麗さを伴っています。説明的な動きがあるわけではない。ただ、動きの連なりが美しい物語に変わってゆく。そんな、決して華やかでも圧倒的でもないけれど、忘れられない余韻を残したカップルです。

 

 

9192シーズン

OSP「ピチカートポルカ」FD「四季」

 良くも悪くも、このカップルはズーリンが主だな、というラインナップ。ODはお転婆な少女とナンパの少年という組み合わせですが、面白いほどズーリンの印象が強いです。それから、彼らの代表作として有名なFD――月光を浴びた男女の像が束の間動き出し、愛を語って、また元の姿に戻る――も、明らかに主人公はズーリンなんですよ。独創的で美しいムーヴメントを連ねていって、結果的に物語を織り上げる、という意味で典型的な彼らの作品です。早い話が、ズーリンってそれだけ華があるアイスダンサーなんですよね。ウソワさんにも美しい動きがたくさんあるのですが、そういうのに限って氷ぎりぎりの、けっこう厳しそうな姿勢で、ズーリンが目立ったりするんです。ある意味、象徴的…とまで言ってしまうと言いすぎか。

(振付:ジュゼッペ・アリーナ)

 

OSPhttp://www.youtube.com/watch?v=Bw3hZhySRC8&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=QKCXJfE3P84&feature=player_detailpage

 

 

9293シーズン

FD「ブルース・フォー・クルーク」

 なるほど、これはブルースだ。しかしまあ、彼らにかかると、ブルースが何と叙情的に美しくなることでしょうか。見事なフローの中で、次々と生み出され、移ろってゆく、美しいムーヴメントの数々。でも、その所々で、はっとするようなインパクトを織り込んで、絶妙のメリハリをつけています。そして、このプログラムの中に居るウソワさんは、他の何を滑っている時よりも、艶やかで存在感がある。それだけでも、彼らの頂点と言って問題ない作品ではないかと思います。

 

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=AxseLaxl61s&feature=player_detailpage

 

9394シーズン

FD「ニーノ・ロータ メドレー」、EX「タンゴ」

 このFDは彼らの作品じゃないなぁ…と思いました。軽やかなステップを連ねてグリシュク&プラトフに勝てる筈が無いし、流麗さと叙情性こそが彼らの持ち味だった筈なのに、ある意味潔いほど、それらを捨ててしまった。そして、だからこそ、最後に来る、あまりにも意味深なEXが印象的です。紅い薔薇を持ったズーリンに、ウソワさんが近づいて行き、薔薇を髪に飾って手を取り、しばらく踊るけれども、薔薇を返して離れていく――艶やかで静かで、いつものように説明的な動きは特に無い。でも、余白というか行間というか、想像を巡らす良い意味の「隙間」がたくさんあって、ある意味過剰にドラマを感じてしまう。含蓄がある作品、ということにしておきましょう。

 

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=I1cZWsfTEy8&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=p5hxHc9SKrI&feature=player_detailpage

 

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