タチアナ・トトミアニナ&マキシム・マリニン(ロシア)

【主な成績】

06トリノ五輪金メダル、0405世界チャンピオン、0206欧州チャンピオン

 

 一言で言うならば、清澄――静かに澄み渡って透明な、ロシアの風と光。そういうイメージのペアです。ゴテゴテした飾りが無くて、鉄壁の技術の上に骨太な優雅さを組み上げた、という意味では、ピュア・ロシアなスタイルとも言える。一見すると地味ですが、決して飽きることは無いんですよね。そして、観慣れてくると次第に、彼らの持つクールで透きとおった空気感や、時折見せる鋭さに心を奪われます。

 

 

0001シーズン

EX「荒野」

 彼らを初めて観たのが、この時のEXでした。ステンドグラス模様のお揃いのボディスーツ、タチアナの髪はベリーショートで、性別を感じさせなかった。演技そのものもミステリアスな感じで、特に男女の役割を分ける必要も無かったですしね。ただ、素晴らしく正確な技術を持っていて、シンプルに綺麗に滑れるペアだということは、一目瞭然だった。

 

 

01-02シーズン

SP「ロシアミュージカル」、FS「ウェストサイドストーリー」、EXA Girl Like You

 とても綺麗だけど、無愛想でとっつきにくいところのあるペア。これが彼らの当時のイメージであり、プログラムもそれに忠実だったなと。SPは静かでミステリアスで、クールなイメージが却って功を奏するタイプの作品。何の誤魔化しも無いだけに、彼らの技術のピュアな美しさが際立ちました。一転してFSは、ここまで来ると気持ちいいな、と言いたくなってしまう、取り付く島も無いようなクールさ、素っ気無さ。媚びようとして失敗しているんではなくて、最初から媚びる気ゼロの無愛想でした。EXはロックナンバーだけど、男の子が2人で滑っているようでした。

(振付:スヴェトラーナ・コロル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=M48vVdYUjrQ

FShttp://www.youtube.com/watch?v=nnC9jBaQWFI&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=hW0sR9f_npw&feature=player_detailpage

 

 

0203シーズン

SP「朝」、FS「コットン・クラブ」

 頂点を目指してイメージチェンジを計ったシーズン。SPはゆったりとした音楽に合わせてじっくりと盛り上げる作品ですが、何気にサイドバイサイドスピンの中にレイバックを入れています。マックスの姿勢がとても綺麗。FSはジャズのスタンダードナンバーで、お洒落で可愛い感じの作品。正直、それが彼らに合っているのか、と言われると微妙かなとも思いますが、成長過程の一段階として見ればアリでしょう。

(振付:ジュゼッペ・アリーナ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=RqtjyUkQHXw&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=4SJI8NUNpQM&feature=player_detailpage

 

 

03-04シーズン

SP「パガニーニの主題による狂詩曲」、FSArt On Ice

 SPは丁寧な印象のステップシークエンスから始まる、とてもエレガントな作品。これこそロシア・ペアという洗練された美しさ、特に流れの良さが印象的でした。そして、シーズン途中で変更したFSがまた良かった。クールでモダンだけどドラマチックな部分もある、という彼らにはもってこいの音楽、シンプルだけど完成されたラインとポジション、そこに織り交ぜられる、はっとするような美しさ、すべてを支える堅牢たる技術――それらはすべて、ロシア・ペアの良き伝統そのもの。彼らが、持ってはいたんだけど上手く使えていなかったもの、と言えるでしょうか。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=wCGtQcE8MGw&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=vBi-sPwYods&feature=player_detailpage

 

 

0405シーズン

SP「アヴェ・マリア」、FS「シェヘラザード」、EXColors of the Night

 シーズン初戦にしてタチアナがリフトから墜落、氷で頭を打ってしばらく療養するというアクシデントがあり、とても短いシーズンでした。だから、特にFSに関しては、未完成に終わったな、という感じがあります。SPはそれでも、混ざり物無しの美しさを、ゆったりと見せてくれましたが。EXはパッション系の女性ヴォーカルに合わせた演技で、しっとりと美しい、いわゆるエキシビジョンらしいエキシビジョンです。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=AOqMJcR1uLI&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=6O_RRHBbjQM&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=T8OEFBsJi5I&feature=player_detailpage

 

 

0506シーズン

SP「吹雪」、FS「ロミオとジュリエット」、EX「メロドラマ」

 アマチュアラストシーズンですが、03-04シーズンで掴んだ彼らなりのスタイルが、ここで完成していると思う。SPはとてもスケール感のある演技ですが、涼やかで澄み渡った空気感が、彼らの持ち味そのもの。ロシアに行ったことはありませんが、きっとロシアには、こんな風に明るいけれども暑くない、水晶のような光が降り注いでいるんだろうなぁ…と思いました。動きそのものはシンプルですが、それ故に、かえって磨きぬかれた質の高さが際立っていました。FSもそれは同じです。こちらはエドウィン・マートンによるモダンアレンジですが、速いパートではシャープで現代的な感性を、スローパートではゆったりとした優雅さを、それぞれバランス良く体現出来ていたと思います。EXはアンドレア・ボチェッリの楽曲をノーカットで使っていて、原曲ファンには嬉しい作品。元の作品が持っているサウンドスケイプがかなり広いのですが、それが彼らの持つスケーティングの「広がり」と絶妙にマッチし、かつて無いほど感情的でドラマチックな作品に仕上がっていました。

(振付:オレグ・ワシーリエフ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=xcL5eIgtNGA&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=ZpNEjZjwL6s&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=H6itI0aEWH8&feature=player_detailpage

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