手の中の蒼い刃に、為したことの重みを映して、一緒に握り締めている。ガラハドの形見になったアイスソードを、ミリアムは、迷った形跡も無く、グレイに受け継がせた。剣は、それを良く扱える人間の手にあってこそ輝く。ガラハドが、口癖のように言っていた言葉そのままに。自分を責めることは止めにした。ただ、為したことを忘れずに背負いつづけて、先を築いていければいい。そんな思いを、今は噛み締めている。

 

 騎士団領を訪れたのは、騎士団の顧問魔術師フラーマが、何か情報を持っているのではと思ったからだ。しかし、いざ到着すると、騎士団領全体が、何やら物々しい雰囲気に包まれていた。テオドールによるバイゼルハイム包囲と、それを制止するべく、バイゼルハイムのフラーマに加勢を宣言したハインリヒ。騎士団は、分裂していた。

 詳しい状況が知りたいと、ひとまずオイゲンシュタットのラファエルを訪ねた。ラファエルは、過去何度か会った時と変わらない、曇りの無い蒼い瞳に憂愁の影を落としていたが、一行の姿を見ると、すこしは陰りも薄らいだ。

「皆さんが出発された直後から、義父上の様子がおかしくなり始めました。以前からお厳しい方でしたが、あんなではなかった…まるで人が違ってしまわれたかのように。コンスタンツは、あれは偽者だと言い張ります。確証があることではないので、誰にも打ち明けてはいませんが…」

そこまで説明を受けたところで、扉が開き、コンスタンツが入ってきた。以前顔を合わせたときは、芯こそ強そうだが、控えめで大人しい印象を受けたから、知る者にしてみれば驚きだ。しかしコンスタンツは、丁寧な動作で非礼を詫びると、思い詰めたような眼差しで座を見回し、テーブルの上に古びた鍵を置いた。

「ミルザブールの、父の城の隠し通路の鍵です。どうか皆様、真実を確かめてくださいませ。一体何者が父になりすましているのか…父は、どうしてしまったのか。どうか、お願いでございます」

泣き出すかと思ったが、一途な瞳は揺るがなかった。

「城の中を、調べてくればいいのね。分ったわ」

クローディアの言葉に、皆が頷く。本人は自覚していないだろうが、このパーティで物事の最終決定権を握っているのは、グレイではなくて彼女なのだ。彼女の言葉には、誰も逆らえない。そんな、不思議な力を持っている。

「では、僕にも同行させてください。騎士団内のことですから、一人くらいは責任を取る者が居なければ」

立ち上がったラファエルに、コンスタンツが一瞬、諦めに似た視線を向けたが、すぐに瞼を伏せて、それを隠した。

「お気をつけて、行ってらっしゃいませ。ご武運を、お祈り申し上げております」

「行ってくる。余計な心配をするんじゃないよ」

角度的に、ラファエルからコンスタンツの細かい表情は見えなかった筈だ。しかし、続いた柔らかな答えには、すべてお見通しといった、夫婦ならではの信頼が滲んでいた。

 一応潜入捜査なので、人数は極力絞らなければならない。まずジャミルとラファエル。最後の一人は、籤引きの結果グレイということになった。

「こういう時は、お前さんは外れるといいんだがな。普段から、忙しいだろう」

苦笑するホークに、肩を竦めて見せる。確かに言われた通りだが、自分から休むと言うほどのこともない。それに、ガラハドのことが昨日の今日で、まだ動いている方が楽なのだ。

「いってらっしゃい」

微笑むクローディアに深く頷いて、グレイはアイスソードを取り、真夜中のミルザブール城下へ出て行った。

 ところがだ。隠し通路から城内に入った途端、三人は、目の前の光景に愕然とした。モンスターで溢れ返っていたのだ。ラファエルが、流星剣で一掃し、二人を誘って駆け出す。

「まともに相手をしていたら、時間を食いすぎます。義父上の部屋は二階ですから」

慌ててそれを追いかけながら、グレイは考えた。これも、サルーインの仕業かもしれない。サルーインにとって、自らを封印した銀の聖戦士ミルザの後継者たちは、この世の中でも最も憎いものに違いない。騎士団を乗っ取って内部から崩壊させることは、世界の秩序破壊にも寄与する。何よりも、この城内の印象が、アサシンギルドのアジトと似ていたからだ。

「…やっぱりあんたもそう思うか」

傍らを見ると、ジャミルがやはりこちらを向いていて、頷いた。カクラム砂漠の地下で、大地母女神ニーサから啓示を受けて、半年近くになる。今まで旅を続けて、モンスターの数が増えていることこそ気になったものの、サルーインの息吹を間近に感じたのは、アサシンギルドが初めてだった。邪神の復活が、近付いている。その思いが、締め付けるような緊迫感とともに、胸中に湧きあがっていた。

 ラファエルは、騎士で剣士だが、流星剣を始めとする「剣気」の技術や炎の術法に長けていて、自然、複数の敵を一度に相手にするのは得意だ。こういう場合、多分、パーティの誰よりも頼りになるだろう。立ちはだかる敵の殆どは、ラファエルが片付けてしまった。

 テオドールの部屋は、階段を上がってすぐのところで、流石に室内にモンスターは居なかった。よく片付いた部屋だったが、あまりにも綺麗過ぎて、今人が住んでいる気配がしない。確かに、不自然さが残った。何か手がかりはと探し回り、ジャミルがふと、壁にかけられた絵――早くに亡くなったというコンスタンツの母の肖像画――の裏側に手をやった。

「こんなのあったぜ」

出てきたのは、小さく千切られた地図の切れ端。走り書きに近いような線で、一箇所だけ印がつけてある。心当たりはと尋ねると、ラファエルは、眉を曇らせた。

「そこも確か、以前貴方たちに討伐を手伝っていただいたような、モンスターの巣窟です。かなり大規模なので、相応の準備をしてから、ということになっていたんですが」

周到に隠されたというよりは、大急ぎで思いついたことをした、という感じのやり口で残されていたそれは、テオドールの伝言である、とも思われた。とりあえずは、この思わせぶりな地図の示す先へ行くのが、妥当なようだ。

 

 早速にと訪れた古い神殿は、確かに以前ラファエルと一緒に討伐したものとよく似ていた。違ったのは、モンスターの数。こちらの方が、明らかに多い。

「大事なものがあるって、白状してるようなもんだよな。行くぜ、アル、アイシャ!」

いつの間にかパーティの切り込み隊長と化しているジャミルが、手に術法のパワーを溜めながら、号令をかける。

「そういうことだよね。それにしても、数が多いな!」

最初に攻撃を仕掛けたのは、アルベルト。鎌鼬だ。モンスターが怯んだ隙に、ジャミルがエナジーボルトを叩き込み、ほぼ同時に駆け出す。

「置いてかないで!」

最後にアイシャがついていった。ジャミルが前衛で引っかき回し、アイシャがフォローしてアルベルトがとどめを刺す、そんな形が、いつの間にか出来上がっている。

「…見違えるようになりましたね。僕たちも、負けていられません」

毎日彼らの戦い振りをみているグレイでさえそうなのだ、ラファエルの驚きには、もっと大きなものがあるのだろう。軽くみひらかれた深い蒼の目に、さっと鋭気が過ぎった。その光が、流星になり、モンスターに降り注ぐ。ホークもホークで、厚刃のサーベルをしごいている。

「あんたの教え子たちだが、うかうかしてると追い越されるぜ」

「教え子?俺の?」

「あんたが一生懸命配置を考えて、伸びるように使ってやってたように見えたがね!」

言いながら、ホークは風の術法を放った。言われてみれば、そんなようなことはした。だが今は、行動や関係に名前をつけるよりも、まず動くことだ。

「クローディア、援護を頼む!」

最初は地走りから。すぐ横を、クローディアの矢が通り抜けてゆく。大人たちも負けてはいられない。確かにジャミルも、アイシャも、アルベルトも強くなったが、破壊力や駆け引きはまだまだだ。追いつくなり、強靭な皮膚を持つオーガ系のモンスターを一刀両断した。両横で、ラファエルとホークもそれぞれ、徹底的に粉砕しないと立ち上がるアンデッドや、狙いを定め辛いコカトリスを倒していた。

「ちぇっ、美味しいとこ取ってきやがって」

苦笑するジャミルを、軽く小突いた。

「調子に乗るな。まだまだ敵は来るぞ」

「分ってるよ、グレイ。もう貴方に叱られるのは御免だからね」

「子供扱いされるのも飽きたもん!」

アルベルトとアイシャが、更に生意気な口をきいた。それに苦笑を返している自分が、何だか信じられないような気がした。

 

 今度の神殿は、モンスターの数も途方も無かったが、奥行き自体もアサシンギルドよりずっと深く、自然と疲労が蓄積されていった。傷はクローディアの術法で治癒出来るが、体力までは回復しないし、大怪我をした者は居ないが、失われた血も戻らない。ある程度の深さからは、無駄に疲れないよう、自然と足取りが慎重になっていった。

 一体どれだけ時間がかかったかよく分らないが、そのフロアに足を踏み入れた途端、何か途方も無い威圧感に襲われた。闇の中に、爛々と光る二つの大きなものが見えた。

「ドラゴンの目だ!」

グレイが叫び、皆が身構えたのとほぼ同時に、炎の嵐が吹き荒れる。ということは、この部屋に居るのはレッドドラゴンということだ。アルベルトが、光の術法で明りを灯す。ほの明るくなった部屋の中に、緋色の鱗に包まれた、巨大なドラゴンの姿があった。

 咄嗟にグレイは、ラファエルとホークの顔を見た。グレイ自身、長い冒険の中でドラゴンに相対した経験は一度か二度。しかし、ラファエルもホークも、かぶりを振って見せた。となれば、ドラゴンの特性を思い出して、自分で作戦を立てるしかない。

「鱗が、硬いよね。この間の巨人じゃないけれど、先に術法で攻めた方がいいんじゃないかな。あと、この中であの鱗に刃が立つのは、グレイと、ホークと、流星剣を使ってラファエルだけだと思う」

と、脇からアルベルトが口を出した。

「なんて、姉さんの受け売りだけどね」

「いや、それで充分だ」

アルベルトの姉ディアナは、ローザリアの摂政王太子ナイトハルトの婚約者だが、同時にローザリア薔薇騎士の称号も持つ、凄腕の剣士だそうだ。その力量、知識に感服しながら、グレイは頷いた。

「ジャミル、いつものように目晦ましを頼む。アイシャとアルベルトは術法で援護。クローディアは、治療に専念してくれ」

分ったという前に、アルベルトの手から、幾本もの光の剣が飛び立って、ドラゴンの鱗を刺した。光の最高位術法・スターソードである。まったく、最初の頃の非力さはどこへ行ったのやら。本当に、うかうかしてはいられない。グレイもアイスソードを構えた。この蒼い刃は、その内側に、強大な冷気を秘めている。まだ上手くは扱えないが、求めに応じて吹き荒れる冬の嵐は、炎の眷属であるレッドドラゴンには、何よりの武器だ。

 案の定、冷気でドラゴンが怯んだ隙に、まずはジャミルが飛び出し、比較的皮膚の柔らかい目許や鼻先を狙って、スピアでつつく。苛立ったドラゴンが鋭い爪を振り上げると、そこにアルベルトとアイシャが、狙い澄まして術法をぶつけた。

「ジャミル、気をつけてよ!」

「分ってるよ!」

アイシャの言葉に、軽口を返す。良くも悪くも、いつでも余裕があるのがジャミルだ。

 再びドラゴンが炎のブレスを吐いた。冬の嵐で相殺する。そこに生まれた隙に、ホークとラファエルが飛び込み、それぞれ攻撃するが、今度は翼に邪魔された。弾き飛ばされた二人を、クローディアが回復する。その間は、ジャミル、アイシャ、アルベルトが術法でもたせた。

 こんな調子でいつまでも攻撃していても、時間がかかるばかりだ。勝てないことは無いが、効率は悪い。出来れば皮膚が柔らかく、急所に近い腹の下に潜り込みたいところだ。そこに入り込んだ時に一番の破壊力を生み出せるのは、まだアイスソードの使い方を完璧にはマスターしていない自分ではなく、ホークとラファエルの筈だ。

「ジャミル、ドラゴンの注意を上に向けてくれ!アイシャとアルベルト、絶対に攻撃を当てさせるなよ!」

視線が、走る。その一瞬に、誰もが動き出した。ジャミルが、ドラゴンの背中に駆け上がり、頭の上にスピアを突き立てる。当然刃が立たないが、ドラゴンを苛立たせる効果はあったようだ。両方の前脚が、一度に床から浮く。そこを狙って、またアイシャとアルベルトの術法が炸裂した。あと一押し、アイスソードを振り下ろして、冬の嵐を吹き荒れさせる。ドラゴンが苦悶の叫びをあげて身を反らせたところで、ジャミルが離脱した。代わりにホークとラファエルが動き出す。微妙な足の速さの差で、ホークが先に仕掛けた。ドラゴンの皮膚の、一番柔らかい腹部にサーベルを突き立て、斜めに斬り下ろしてから、徐に刃を返して、楔形の傷を深々と穿つ。燕返しと呼ばれる、高等技術だ。しかし、流石にドラゴンの体は大きく、それだけで致命傷にはならなかった。そこへ、今度はラファエルが踊りかかる。振り上げた刃に、眩い光が灯った。熟成され、本来なら流星雨として降り注ぐべき剣気が、ひとつに束ねられて、ドラゴンの顔面に叩き込まれる。彗星剣。剣気を扱う中でも最高の技術だ。その一撃で、ドラゴンの首は砕け散った。狙いが、正確そのものだ。ほんのすこし横へずれただけでも、あれだけの破壊力は生み出せまい。ラファエルは、圧倒的な力だとか、素早さといったものとは縁の薄い剣士だ。その代わり、冷静で正確で、器用さを持っている。質としては、アルベルトに近い。

「いいコンビネーションを育てましたね。緻密で効率的なのに、余裕があって、僕が入っても揺るぎもしなかった」

微笑むラファエルに、グレイはかぶりを振った。

「そこに入り込めるお前も、大したものだ」

ラファエルは、静かに頷き返した。

 

 最奥の扉を開け放つと、そこには、何とテオドール本人の姿があった。その口から語られた事実は、以下の通りだ。復活を目論むサルーインは、憎きミルザの後継者である騎士団の、内側からの崩壊を企んで、一度はテオドールを操ろうとした。その頃起こったのが、つまりコンスタンツ誘拐事件で、あの時のラファエルへの対応は、サルーインの僕の支配下にあったから。しかし、何があったのか、支配が完璧にはゆかなかったために、今度は替え玉を使われたのだという。つまり今、テオドールとして騎士団を率いているのは、コンスタンツの読んだ通り、騎士団を分裂させるための偽者なのだ。

 となれば、のんびりしてはいられない。偽テオドールは、騎士団を率いて今日にもバイゼルハイムのフラーマを攻撃しようという勢いだ。行き道でモンスターは片付けてきたし、経路も分っている。体力の温存も考えたが、取り返しがつかなくなる前にと、ひた走った。

 バイゼルハイムに着くなり、テオドールが騎士たちを鎮め始めた。一方グレイたちは、偽テオドールの居場所を探す。だが、総大将の居るところは、非常に目立つものだ。二人のテオドールが現れたことで騎士たちが混乱している今、そこまで行き着くのは容易だった。

 本陣の天幕を跳ね除ける。

「よくも義父上になりすまし、騎士団を混乱させてくれた!」

ラファエルの鋭い声に、偽テオドールが振り返る。その瞬間、吹き上がった炎のオーラが、天幕を焼き払った。咄嗟に凄まじい熱気から目を庇い、再び開けた視界には、炎の悪魔イフリートが立っていた。

 まずは様子見にとホークが斬りかかろうとしたが、近寄るだけで焼け付くように空気が熱い。とても直接攻撃は出来ない。それを見て取るなり、アルベルトとアイシャを先頭に術法攻撃に切換えたが、捗々しい効果は上がらない。逆に、イフリートから炎の術法で攻撃を受けた。

「グレイ、アイスソードを使ってください!その剣の威力は、まだまだある筈ですから!」

自分の術法で炎を相殺しながら、ラファエルが叫んだ。しかし、と逡巡するグレイに、クローディアが微笑みかける。

「大丈夫。貴方なら出来るわ」

言いながら、クローディアは、白い手をアイスソードに添えた。額のサークレットで、アクアマリンが仄かに光を灯す。「力」が伝わるのが、感じ取れた。

「もし、その剣の中にあるものが暴走してしまったら、その時は私が食い止めるわ。この石には、その力があると思う」

「…分った」

そこまで言われれば、完璧にやってのけねばなるまい。グレイはアイスソードを構えると、真っ直ぐにイフリートを見据えた。

 イフリートの側でも、自分の命取りになる「もの」を察したのだろう、炎の術法で攻撃してくる。それを、まずは横合いから、アイシャの土の術法が抑えた。

「早くしてね!そんなに何度も出来ないよ」

第二波の攻撃は、ホークが防いでくれた。

「ちゅうわけだ、グレイ!一発頼むぜ!」

 蒼い氷の刃の中には、魂まで凍てつかせるほどの、壮絶な冷気が閉じ込められている。だが、その極北の冷たさは、手にかけた戦友の、潔癖な命の象徴でもある。荒ぶる力を解放するのは簡単だが、抑えきれるかどうか――その時は、その時だ。

 振り下ろした刃から、一直線に冷気が迸り、真っ直ぐイフリートに突き刺さって、一瞬に炎を掻き消した。鎮めなければ。しかし、あまりにも大量のエネルギーは、グレイ独りの手に余った。その時だ。クローディアが、アイスソードを握る拳に、そっと手を添えた。剣が、あっというまに従えられる。クローディアの呼吸が、伝わった。ただそれだけの動きで、暴走しかけた冷気を止め、その方法まで、グレイに伝えてしまった。

「ね、出来たでしょう?」

微笑むはしばみ色の瞳は、とても暖かだった。

 「見事でしたよ」

背後から、柔らかな声がした。この城の女主人フラーマであることは、ラファエルが即座にとった恭しい態度を見るまでもない。

「これならばもう、この城の石を預けても大丈夫ですね」

と、フラーマが差し出した手の上で、ルビーの指輪が突然の輝きを放った。久し振りに聞く、澄んだ共鳴音。光は、ラファエルの方を向いていた。

「…僕、ですか――」

呆然とした響きの奥に、誇らしげな何かが息づいている。ややあってラファエルは、フラーマの前に進み出ると、方膝をついた。

「銀の聖戦士ミルザの遺産、確かにお預かり致します」

そうして七つ目の石が、ラファエルの指に収まった。

「南のバルハラントへお行きなさい。そこに、次の石があります」

フラーマはそれを見届けると、嫣然と微笑んだ。

 ものには時として、深い想いが宿り、歴史になることもある。それを、新たな者たちが継いでゆく。気持ちだけを、受け継ぐ者も居る。それを見ながらグレイは、ぼんやりとそんなことを考え、手の中の蒼い刃を握り締めた。
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