マリア・ペトロワ&アレクセイ・ティホノフ(ロシア)

【主な成績】

06トリノ五輪5位、00世界チャンピオン

 

 観ていて安心するペアであり、観終わるとほっとするペア。やっていることは決してそうでもないのですが、持っている雰囲気が、ペアとしてとてもオーソドックスで素朴、親しみやすい。だから、かなり独創的なリフトでも、彼らがやると不思議とアクロバティック過ぎないんですよね。それは技が丁寧だということもあるんですが、それにしても。それには良い面も悪い面もあるとは思いますが、彼らを観ている時に感じる地味な幸福感は、意外と替え難いものだと思います。

 

 

9900シーズン

SP「フランチェスカ・ダ・リミニ」、FS「四季」、EX「女心の歌」

 名実ともに、最もオーソドックスだったシーズンではないでしょうか。SPも、彼らの、文句なしの代表作となったFSも、適度にドラマチックで耳当たりの良いフィギュア向きの音楽、奇を衒った振付は無いけれど、2人の身長差を活かしたダイナミックな面がほどよくアピールされていて、とても観易いものでした。一転してEXでは、能天気で何も考えていません、的なアリアに乗せて、コミカルな演技を披露。アリョーシャの徹底的ダメ男ぶりが笑えます。そして勝気ぶって悪くはなれないマーシャがとてもキュートです。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=bj3Pd1p-gyo&feature=player_detailpage

FShttps://www.youtube.com/watch?v=o1lrOwMEk4E

 

 

0001シーズン

FS「楽園幻想」「四季」、EX「ユダヤのフォークダンス」

 袋小路の入り口。最初のFS「楽園幻想」は、音楽があれでさえ無かったら、やっていることはとても良いと思うんです。独創的なリフトが数々取り入れられていて、彼ららしいダイナミックさも、丁寧さもあるし、動きそのものは面白い。音楽も、決して悪いわけじゃないけれど、致命的にキャッチーさに欠けるのは否めない。結果、せっかくの良いパフォーマンスが疎外されていた、と言えるのでは。EXもそうですね。決してそんなに変なことをしているわけではないんだけど、音楽がエキゾチックすぎて、え?と首を傾げてしまうという感じ。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttps://www.youtube.com/watch?v=v4L7ThcHx8w

FShttps://www.youtube.com/watch?v=nr9iwFiYWd8

 

 

01-02シーズン

SP「くるみ割り人形」、FS「チェス」、EXWhite Cat, Black Cat

 彼らの最大の持ち味である「安心感」を、最大限に発揮してくれるのが、このSP。「くるみ」の音楽から抽出出来るエッセンスは数々ありますが、彼らが汲み上げたのは、ほのぼのとした懐かしさでしょうか。この前後のシーズンにしては稀有なことに、個性と音楽が綺麗に融合していた作品だったと思います。FSは、残念ながら「楽園幻想」の轍を、思いっきり踏んでいた。前作ほどのことは無いにしても、特に終盤、あんな風にスローダウンさせることは無いんじゃないかな、と思います。シンプルで観易いプログラムなんだから。EXは豪快なリフトが連発される作品ですが、不思議とそのダイナミックさに歓声を上げるのではなくて、ポヤンと心温まってしまう雰囲気が、あまりにも、いかにも彼らです。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttps://www.youtube.com/watch?v=JexGkMsMi0o

FShttp://www.youtube.com/watch?v=plxU-bs_3FY&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=EkVRgxDuj4I&feature=player_detailpage

 

 

0203シーズン

FS「交響舞曲」、「チェス」

 このシーズンのFSは、結局没になった挙句元の作品に戻ったけれど、個人的にはこれは良い作品だったと思う。キャッチーさの欠如という点では同じだけど、振付の面で観るべきものが多かったんです、「交響舞曲」の方が。ルール上では恐らく「ダンスリフト」という分類になるだろうけど、実際にダンスの世界では、身長差の関係上、実現しないであろう動き――つまり彼らにしか出来ない動きが、数多く、効果的に取り入れられた、画期的な振付だったと思っていますので。もちろん、この勇壮な音楽とコンテンポラリー調の振付が、彼らに最も相応しいものか、という議論は残るにしても。因みに、ボツになった動きの数々は、ある程度EXでサルベージされていました。ジャジーでスローでムードのある音楽に合わせてじっくり演じると、味わい倍増な感じで。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

FShttps://www.youtube.com/watch?v=8LisYC0s-0I

 

 

0304シーズン

SP「バクスター」、FS「サーカスの女王」

 トンネルからの出口。久しぶりに、彼らのSPで、一気にフィニッシュまでいってしまえる、シンプルで観易い作品に出会いました。流れに乗ると、動きから雰囲気まで、見違えるほど洗練されて見えましたし。でも、白眉はやはり絶妙な懐かしさを感じさせるFSでしょう。やや垢抜けない、田舎っぽい雰囲気も、彼らには何のマイナスにもならない。素朴で親しみ易い雰囲気、マーシャの可愛らしさ、アリョーシャの力強さ、すべてが活きていた、彼らのベスト・プログラムのひとつと言っていいんじゃないでしょうか。そしてトンネルを抜け出たら、EXまで軽やかに力強くなっていたのにはびっくり。彼らはいつも、EXで何もそこまで、というくらいきちんとペアのエレメントを見せてくれるのですが、すべてが丁寧で軽やかで、EXにしてはあり得ないくらい「ペアでいいもん観た」という充実感に溢れています。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=bxoMkO1Nnr4&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=MYrk9zvKTKo&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=1cL6U23FGZw&feature=player_detailpage

 

 

0405シーズン

SP「タンゴ」、FS「サーカスの女王」

 FSは据え置き、SPは前作の延長線上ですが、身長差35p超のこの2人がホールドを組むと、言うまでもない無理があって、決して格好良くは決まりきっていないんですよ。ただ、微笑ましさや可愛らしさはあるんですよね。タンゴなのに、何故か。そんなところで個性をアピールしつつ、タンゴには不可欠な強いアクセントをつけることにも何気に成功していて、不思議なバランスの上に成り立っているプログラムだと思う。EXのレトロな音楽は実は一昨季の使いまわしなんですが、振付はまったく新しく、彼らには珍しく「EX然」とした作品。ちょっとした小芝居があったり、豪快な技(女性の脚を持って振り回す例のあれ)があったり、いたるところショーアップされた上質のエンタテイメント…でも垢抜けないのは、間違いなく彼らの良いところです。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=FrO_1UGV54g&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=6wePGhdkV1A&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=1hNiNNrcRD8&feature=player_detailpage

 

 

0506シーズン

SP「サラバンド」、FS「ニーノ・ロータ メドレー」「四季」

 SPは、かつて何度も挑戦して敗れた、モダン系プログラムの完成形であり、成績まで含めて言うと、唯一の成功作と言えるでしょう。滑っている彼らが充実していた、というのが1番大きいのかもしれないけれど、スピード感があって、丁寧だけど安心感よりはダイナミックさが勝る、数少ない作品でした。FSは、ほのぼのコミカル系の「ニーノ・ロータ」もそれなりにハマっていましたが、久しぶりにリバイバルされた「四季」が見違えるように素晴らしかった。もしろん、ルールが変わっているので、振付や技にかなりの改変がありますが、こんな形で古いプログラムに新しい血を入れて、以前よりも充実した輝きを放つことが出来るのは、フィギュア界では稀なことですよね。ファンとしてとても嬉しかった。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=WkV5ivzAy4w&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=MeBeq4ef-IE&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=he7OnwLk4X8&feature=player_detailpage

 

 

0607シーズン

SP「サラバンド」、FS「月光」

 このFSは、隠れた名作だと思う。ベテランらしい重厚な雰囲気と、ゆったりして穏やかなムードは、彼らの間に積み上げられた、充実した時間の証のようでもありました。無言だけど語ってしまう作品というか。そうして存在感で語れるようになったことが、彼らの長いキャリアへの勲章にも思えたというか。明らかに、カーチャ&セルゲイの「月光」が下敷きにあって生まれる感想で、彼らには申し訳ないんですけれども、でも、そう思えてきて仕方が無いのです。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ、アレクサンドル・スチョーピン)

 

FShttps://www.youtube.com/watch?v=jXsxpV54cZM

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=HOwdI73zhz8&feature=player_detailpage

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