ステファン・ランビエール(スイス)

【主な成績】

06トリノ五輪銀メダル、0506世界チャンピオン

 

 スピンの名手大量生産国家・スイスが生んだ最新の傑作。でも、それよりもコンテンポラリー調の表現に長けた、一癖あるアーティスト、というイメージが強いかな。舞踊的に美しい動きからは微妙に外れたり、ルーツの一端であるイベリア半島の動きになると俄然強烈になったり、一筋縄ではいかないスケーター。でも、競技の面でも高い総合力を持っていて、表現と技をハイレベルで融合させることに成功した、強いスケーターでもあります。

 

 

01-02シーズン

FSTo See More

 今となっては懐かしいのが、ジャンプが滅茶苦茶で、スピンの奇抜さだけで点を稼いでいたこと。当時から、曲はかなり珍しいものを、衣装も相当程度、それはいかがなものかと思えるものを愛用していましたが(苦笑)

(振付:サロメ・ブルーナ)

 

http://www.youtube.com/watch?v=rvU_Y3uOIh8&feature=player_detailpage

 

 

0203シーズン

SP「シルク・ド・ソレイユ」、FS「ショコラ」、EX「ヴィクトリー」

 これも、基本的には昨季と同じ。SPの、背中にぐるぐる渦巻きを描いた衣装には驚きました。色んな意味で「色物」感が濃厚だった時期です。それだけに、例えばEX辺りでふっとシンプルな表現をされると、10倍増しで意外に見えたという…

(振付:サロメ・ブルーナ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=zhPrqoeLIqM&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=SVH-UWB4EaM&feature=player_detailpage

 

 

03-04シーズン

SPI’m a Down」、FSZabuca他」

 脱色物のシーズン。過度にあくの強い曲をやめて、穏やかだけど大人びた表現を見せるようになったSPと、初めてスパニッシュ・テーマを使ったFS。その代償として、強烈だった個性を薄めてしまった感はありますが、飛躍のシーズンだったことは間違いないでしょう。

(振付:サロメ・ブルーナ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=but51WWfIy0&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=zRQVeaD2iu8&feature=player_detailpage

 

 

0405シーズン

SP「スパニッシュ・キャラヴァン」、FS「キング・アーサー」、EX「星は光りぬ」

 FSは無難な動きに終始していましたが、スパイシーなSPは面白かった。彼は、お祖母さんがポルトガル出身だそうで、ラテンの血が入っているからか、スパニッシュ・テーマが似合います。それにしても、デビューの年にはトリプルアクセルも跳べなかったのに、この頃には4323連コンボまで決まるようになっていて、その成長ぶりには隔世の感さえあります。ただ、ここまでの彼は、例えば同じスイスの先輩であるルシンダ・ルーのように、スピンで音楽を表現する境地には至っていなかったんですよね。新しい採点方法の下で思ったようにスピンの点数が伸びず、ジャンプか、スピンかという二択を迫られて、彼自身も苦しかった頃のようです。

(振付:サロメ・ブルーナ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=EfjxWKsdtlE&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=FKkVIdEmSqU&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=UKWl_tmBcNA&feature=player_detailpage

 

 

0506シーズン

SP「レジェンド・オブ・メキシコ」「ドラリヨン」、FS「四季」、EXYou are so beautiful

 そして、ブレイク・スルーのシーズン。手始めに、ラテン調でそこそこ格好良く、評判も悪くは無かったSPを、年明けから変更します。彼にとっては馴染んだシルク・ド・ソレイユの音楽ですが、無難なセレクトから、より強い個性の主張へ。コンテンポラリー路線へ。そして傑作は、「魔法のシマウマ」をテーマにしたFS。フィギュアでは飽きるほど聴いた曲ですが、彼の解釈はとても斬新で、冬を突き抜けるスピード感と勢いと、エネルギーに溢れていた。要所要所で突き刺さる、強い自己主張。終盤、ストレートラインステップからフィニッシュのコンビネーションスピンに至る流れは圧巻で、最後の最後、シマウマは鮮やかに、天に舞い上がりました。このプログラムの締めは、絶対これ以外有り得ないという、物凄い納得感だった。

 そして、色んな苦労をしただけに、この年の大ヒットナンバーを使ったシンプルなEXが、一層沁みる結果になったのでした。

(振付:サロメ・ブルーナ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=7YIlrcoD1N8&feature=player_detailpage(レジェンド・オブ・メキシコ)

  http://www.youtube.com/watch?v=VNW4h2wTmak&feature=player_detailpage(ドラリヨン)FShttp://www.youtube.com/watch?v=F893u_lTNVw&feature=player_detailpage

EX: http://www.youtube.com/watch?v=yZYr25aAmGQ&feature=player_detailpage

 

 

0607シーズン

SP「ブラッド・ダイヤモンド」、FS「ポエタ」、EXFix You

 怪我だの燃え尽き症候群だので、何とも半端になってしまったシーズンですが、最後に素晴らしい芸術作品を見せてくれました。かつてアニシナ&ペイゼラのフラメンコを振付けたスペインのダンサー、アントニオ・ナハロの手になるフラメンコ。回転の質はすこし違いましたし、シャープさの種類も違う。何よりも、あまりにもフィギュアらしいフロー&グライドの動き。でも、その中にさえ、何故かドゥエンデを感じる、深い表現。情念、とまで言い切るほどどろりとしたものはありませんでしし、洗練された動きでもあったけど、湧き上がってくるような迫力と力強さと、凄みがあった。単純に「格好良い」と言い切るには危険なプログラム。引き込まれたら、しばらく還りたくない世界でした。

(振付 FS:アントニオ・ナハロ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=1hlj7bSqa98&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=-H1Zvy0XMCQ&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=3TJ0k2TEZa4&feature=player_detailpage

 

 

0708シーズン

SP「カルネ・クルーダ」、FS「ポエタ」、EX「ロミオとジュリエット」

 結局、自分はラテンの人間なんだ、っていうことを痛感したのか、SPはタンゴです。でも、これまで多くのスケーターが滑ってきたのとはあまりにも違う。コンテンポラリーで血の香りがする、危険さ倍増の世界。ドゥエンデを超えてデモーニッシュな空気さえ漂わせていて、FSと合わせた時の相乗効果が素晴らしかった。違ったパッションで、違った赤と黒の色合いで、鳥肌が立つような不気味ささえ感じることもあって。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=RDWsuFlP6BQ&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=fO0GJmLwVWk&feature=player_detailpage

 

 

「ブエノスアイレスの秋」

 アントニオ・ナハロとのコラボレーションで、タンゴの名曲をフラメンコで滑るというコンセプト。ナハロのダンスと合わせるものと、彼が1人で滑るものと2パターンあります。基本的に世界観は同じで、色気よりもストイックさに傾く、情熱の世界。現役時代は、あれでもセーブしていたと思われるスピンを、久しぶりに全開で見せてくれるのが、まず圧巻。でも、何よりも肝心なのは、その回転が持つパワーが、曲のパワーと合わさって、絶妙に曲の世界観を表現してくれるところ。ナハロのサパテアードと合わせた時には、凄いものを観た、と思いました。

 

http://www.youtube.com/watch?v=nzWULsBnUxU&feature=player_detailpage

 

 

26千万の瞳」

 バトルとのコラボレーション。選曲は絶対、スポンサー関係にファンが居たんだろう、っていう感じですが、これが意外とハマった。無難な範囲で呼吸を合わせつつ、ノリ良く、歯切れ良く、技の質も良く、ベタベタに華やかに、サービス精神全開で滑りきった結果、何気にとてもクールでシャープなナンバーになるという、素敵なマジックが起こりました。

 

http://www.youtube.com/watch?v=9zv_-n2iQIw&feature=player_detailpage

 

 

0910シーズン

SP「ウィリアム・テル」、FS「椿姫」、EX「行かないで」

 現役復帰を果たしたシーズンのプログラムですが、彼ってこんなに王子様だったっけ、と驚きました。トリノ辺りからのコンテンポラリー路線、デビュー以来の一癖ある表現ではなくて、すっきりと伸びやかでノーブルなプログラムが揃っていたから。そしてそれらが、あまりにも板についていた。「ウィリアム・テル」はスイスが舞台のオペラですが、ハイライトは後半、運動会でお馴染みの、アップテンポなメロディになってから。とても繊細なステップワークなのに、スピードもあるし、テンションはちゃんと上がっていく。この曲に、こんなに優雅に軽やかに、乗って行くことが出来る。そのことに、何よりも驚きました。FSは、第3幕の序曲という、「椿姫」の中でも指折りに悲しいパートから始めて段々と明るくなり「乾杯の歌」で終るという、アルフレートとしては邪道な編曲ですが、プログラムとしては悪くない。明朗という印象が相応しい、SPから地続きの表現だったかな。EXはシャンソンの名曲ですが、フランス人スケーターのお株を奪いかねない、切なさとエスプリを感じました。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=pwnqYkMRSyg&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=0dyPcsz6wdw&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=B5HGFyIYC8g&feature=player_detailpage

 

 

Let The Good Times Roll

 エレメンツとしては、スピンがふたつしか入っていないプログラムです。ジャンプは1回転が2回だけ。その代わりと言っては何ですが、ただのクロススケーティングが殆ど無いかな。陽性のジャズナンバーで、彼にしては珍しい、キャッチーなエンタテイメント。間の取り方や表情の作り方、ちょっとした仕草までいなせで、「氷の上でステップを踏みつつ、踊る」というコンセプトまで加えると、ちょっとカート・ブラウニング風かなと思います。

 

http://www.youtube.com/watch?v=0EPwnxrY_Nc&feature=player_detailpage

 

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