アンジェリカ・クリロワ&オレグ・オフシアンニコフ(ロシア)

【主な成績】

98長野五輪銀メダル、9899世界チャンピオン、99欧州チャンピオン

 

 ソビエトのアイスダンスが生んだ最後の精華だと思います。そしてソ連が崩壊した瞬間に彼らは大人になり、シニアの世界に出てきたわけですが…でも、正当で重厚な技術と、品格と、それらに対する強い自負と、それ故に貫かれた攻めの姿勢が、とても気高く美しかったカップルです。そして、そんな彼らのアグレッシヴさが、私はことのほか好きでした。

 

 

9495シーズン

ODSing Sing Sing」、FD「フラメンコ」

 結成1年に満たないデビューのシーズンでしたが、彼らは既に熟成されたカップルでした。ODこそ凡庸だったけれど、素晴らしいのはFD、特に前半の2分弱。リフトは入れず、細かく緻密なステップを、敢えてはっきりしたビートに合わせて刻んでいます。つまり、ほんのすこしでもずれたら目も当てられない振付なのですが、彼らはそのすべてを、的確に調和させていた。2人のユニゾン、音楽とのユニゾン。技術って美しい。そんなことを、しみじみ感じられるダンスです。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=9UKhy5sfghE&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=YWyAcwngqas&feature=player_detailpage

 

 

9596シーズン

OD「パソドプレ」、FD「ロシア民謡」

 ODはオレグのダンスだな、と思いました。力強さと迫力が、とてもよく似合っていて。一方FDは、中央アジアの血を引くエキゾチック美女のアンジェリカに似合うか、と言えば微妙ですが(苦笑)、コミカルで可愛らしい、とても「らしい」フォークダンス。ただ、曲調故にステップ最重視の構成にならざるを得ず、そうするとどうしても対グリシュク&プラトフでは不利だったのではないかと思います。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=kP6jfyChZOQ&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=IP44zO9_3Xo&feature=player_detailpage

 

 

9697シーズン

OD「タンゴ」、FD「仮面舞踏会」

 彼らを語る時は、どうしてもグリシュク&プラトフとの対比で観てしまうのですが…彼らのタンゴは、グリシュク&プラトフよりもずっと「タンゴらしいタンゴ」ではあったと思います。2人の関係性とか、雰囲気とか、力強さとか。ただ、スタンダードすぎて吹っ飛ぶんだよね、とも思った。ただFDは素晴らしい。豪奢・重厚・優雅、これぞロシア!という正統派ナンバーですが、強いエッジのクリーンなステップも、リフトも、ディテールの数々も、すべてが見事にワルツしている。そして、展開も起承転結も無いこの音楽で、4分間それを貫いて、見事にダレることも無い。これが、アイスダンス。彼らにそう言われた気がしました。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=QfTsN8dmAyQ&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=BtcrMzot9hc&feature=player_detailpage

 

 

9798シーズン

OD「、FD「カルメン」、EX「マラゲーニャ」

 このODは、ぶった切ってしまうと、彼らの個性ではないと思う。でも、それをさも当然のように洒脱に、軽やかに演じられるのが、彼らの実力なんだな、と、より強く思います。FDは、血の香りが漂う危険なカルメンです。奔放な悪女と、足掻きながら破滅していく男。手を放した状態で思いっきりトゥステップで走ってしまったりとか、演出に傾いたきらいはありますが、私は彼らのプログラムはアグレッシヴな方が好きなので、この作品はとても好き。EXは、これがEXかと思うような、ピリっとした緊張感が漂うフラメンコ。FDからの続きで観ていると、相通じるものがあって面白いです。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=GOa99xdctRQ&feature=player_detailpage

FD: http://www.youtube.com/watch?v=cphQkdw4fmw&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=YXYpP5GGreE&feature=player_detailpage

 

 

9899シーズン

OD「乾杯の歌」、FD「アフリカン・ドラム」

 ODのワルツは、華やかで大柄でオーソドックスな、ありていに言って彼ららしいワルツでしょう。比べるものが違うかもしれないけど、「仮面舞踏会」に比べるとけっこう薄口。というか、このシーズンは強烈無比なFDがすべてでしょう。とりあえず4分間、パーカッションの音しかない。リズムとビートだけで、メロディが無い。その音楽に合わせて、アグレッシヴにステップを刻み続ける。獣に徹する(特にアンジェリカ)。彼ら自身が、キャリア最難のプログラムだったと後に言っていますが、最も攻撃的だったのもこれでしょう。世界チャンピオンになって、最初にやることが、それ。そんな彼らの姿勢に、敬意を表します。

 

OD: http://www.youtube.com/watch?v=7n2iIrWR5sA&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=xLwSDFgBm0U&feature=player_detailpage

 

 

カルミナ・ブラーナ

 本来であれば、9900シーズンのFDになる筈だった作品。ステップが殆ど無く、リフトの数を増やしてアンジェリカをカヴァーしているので、恐らく本来の姿とはかなり違っているかとは思います。ただ、この荘厳で威厳のある美しさの中に、彼らが持っていた技術をきちんと落とし込んでいけば、それは傑作だったろうな、と偲ぶばかりです。

 

http://www.youtube.com/watch?v=Ea1qicN187Q&feature=player_detailpage

 

inserted by FC2 system