ジョアニー・ロシェット(カナダ)

【主な成績】

10バンクーバー五輪銅メダル、09世界選手権2

 

 タフで、クールで、エレガントなレディ。決して抜きん出た運動能力を持っているわけでも、生まれついての優雅な雰囲気を持っているわけでもありません。正直言って身体は固い方だし、それこそ少女時代は少年より雄々しかった。でも、そこから道を切り拓いて、自分なりの柔らかさの表現を身に付け、強くて美しい大人の女性になったスケーター。正直、彼女のファンになって、自分でも驚いています。でも、その驚きに出会えたことは、フィギュアファンをやっている醍醐味でもあります。

 

 

03-04シーズン

SP「メタモルフォーシス」、FSIl Etait Une Fois le Diable

 最初から、随分と大人びた若手でした。滑りに癖が無くて完成度が高かったのがひとつと、当時から軽やかさよりは骨太さを感じさせる芸風でしたし、選曲も決してキャッチーではなかったし。落ち着いて観直すと、けっこう元気にポンポンと跳んでいるんですが、それよりも全体の流れでするっと見せてしまうという…北米スタイルという意味では典型的だったかも。

(振付 SPFS:デヴィッド・ウィルソン)

 

FShttp://www.youtube.com/watch?v=8NGrlv6ZI0E&feature=player_detailpage

 

 

04-05シーズン

SP「ソング・オブ・ザ・ブラックスワン」、FS「火の鳥」

 全体的にキャッチーさに欠けたシーズンだった気がします。個人的にはクワンの名演の記憶も褪せないSPも、「何もそんな編曲をしなくても」の地味なメロディになっていたFSも、とにかく音楽的に美味しいところが無くて、完成しているだけに愛嬌が無いというか、どうしようもない地味さがあって、滑りに迫力はあるんだけど印象の柔らかさが無いというか…私にとっては、彼女の初期のイメージはここで出来上がっている気がします。

(振付 SPFS:デヴィッド・ウィルソン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=pxe6yGowPho&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=17uTwCAUtrw&feature=player_detailpage

 

 

05-06シーズン

SPLIKE A PRAYER」、FS「枯葉/愛の賛歌」

 心を開いて、音楽に乗ることを覚えたシーズンのような気がします。使う音楽がキャッチーになると同時に、演技が一気に明るくなった。そうしたら、SPのマドンナもFSのピアフも、彼女のキャラクターにはぴったりだったんですよね。強くなければ駄目、でも同時に艶やかさも可愛らしさも必要という。傑作はFSでした。誰でも知っている感動的な音楽に、持っているパワーを全部乗せて、感情をオープンにする。やっているのは多分それだけのことなんですけれど、彼女は誰よりも上手くこの音楽を奏でたと思う。非常にスケールのある曲ですが、それが彼女の持っている強さによく合った。そして音楽が、優雅さを加えてくれた。そんな印象があります。それと彼女は、元からエレメンツの繋ぎの部分にちょっと特徴のある動きをしていたんですが、それが実に優雅にハマるようになったのもこのシーズンだったかな。

(振付 SPFS:デヴィッド・ウィルソン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=h47NPAjA3EY&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=HqcRanRZ6UQ&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=ZTcM0m2LsbI&feature=player_detailpage

 

 

06-07シーズン

SP「リトルウィング」、FS「ドン・ジュアン」

 SPはコケティッシュな動きが可愛らしい作品で、意欲的ではあるんだけど、彼女の滑りには良くも悪くも軽やかさが無いので、ちょっとキツい印象はあります。一転してFSは彼女の真骨頂。ミステリアスなスパニッシュ調の音楽と、艶やかで迫力のある滑りが絶妙に融け合います。そして、肩の動きだったり、背中の反りだったり、フリーレッグだったり、トランジッション部分の処理が実に美しくて、何でもないところに次々はっとさせられるプログラムでもあります。スパイラルの部分なんかを観ると決して高く脚が上がるわけではないし、柔軟性は無いんだけど、それとはまったく別種の柔らかさを、彼女は獲得して表現したわけですよね。

(振付 SPFS:デヴィッド・ウィルソン)

 

FShttp://www.youtube.com/watch?v=2pBBqsRZhd4&feature=player_detailpage

 

 

07-08シーズン

SP「チャイコフスキーのピアノ協奏曲」、FS「ドン・ジュアン」、EX「サマータイム」

 SPの音楽は、ちょっと間違えばギャグになってしまうほど耳慣れた音楽で、強烈に華やかなので、意外と使い方は難しい筈。でも、彼女にかかってしまえば、貫禄のあるゴージャスな演技に出来ますね。最初の一動作で音楽を従えて、あとは悠然と滑っている趣さえありました。スパイラルシークエンスが圧巻!そしてEXでは、アンニュイで小洒落たアレンジに合わせて、昨季のSPではそれほどハマらなかったコケティッシュ路線に再挑戦。演出もあるとは思うんですが、彼女が持っている大人びた女性らしさを、歯切れ良く出すことで、上手く表現出来たんじゃないかと思います。特にEXだからという面白みは無いですが、新境地開拓という意味では大きな作品だったのではないでしょうか。

(振付 SPFS:デヴィッド・ウィルソン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=Y8iFpK9JV3Y&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=vEhWSIcATyU&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=DFrgYbnBY5I&feature=player_detailpage

 

 

08-09シーズン

SP「サマータイム」、FS「アランフェス協奏曲」、EX007 ダイ・アナザー・デイ」

 SPは、昨季のEXで新境地を開拓した作品ですが、編曲・振付ともにまったく新しいものになっています。シェイリーン・ボーンの振付で、確かに色濃い面影が感じられる。後半の軽やかさは、今までのジョアニーには無い要素でしたから。そしてボーンの味と彼女の味が上手く融け合ったところに、このプログラムの妙味がある気がします。FSは、曲想も雰囲気も前作の延長線上という印象が濃いですね。彼女の王道で、よく出来てはいるけど新味には欠けるかも。EXは彼女には珍しくダンサブル系で、新しく身に付けた軽やかさを存分に活かしている作品です。

(振付 SP:シェイリーン・ボーン、FS:デヴィッド・ウィルソン)

 

SP: http://www.youtube.com/watch?v=glCYiq9yD2E&feature=player_detailpage

FS: http://www.youtube.com/watch?v=38kjwcM5Nqg&feature=player_detailpage

 

 

09-10シーズン

SP「ラ・クンパルシータ」、FS「サムソンとデリラ」、EXVole

 SPFSも、実は最後にちゃっかりと、こんなに美味しいものを取っておいてありました、という必殺の選曲ですね。定番でキャッチーで、しかも彼女によく似合うという。SPは、迫力と貫禄と言う意味では彼女の作品の中でも最強の逸品。エレガントさと同時に、何とも言えない風格があります。それと時折、ドキッとするようなシャープさも。基本的にはジョアニーの1番良いところを凝縮した作品なんだけど、トランジッションのステップのちょっとした粋さはボーンかな。FSは前半の「貴方の声に心が開く」が絶品。私はこの曲はかねてより是非1度、クワンに滑って欲しいと思っていましたが、その期待値に迫る艶やかさを感じました。そして最後に、空に吸い込まれていくようなウィスパー・ヴォイスに乗せたEX…何処までも優しくて柔らかい、観ているだけで涙が滲んでしまうような演技でした。

(振付 SP:シェイリーン・ボーン、FS:デヴィッド・ウィルソン)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=R0j3ydtkHw0&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=HFjbcPAfY1M&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=yigfyocJ7oY&feature=player_detailpage

 

 

My Immortal

 柔らかで情感豊かな女声ヴォーカルに合わせた、ごくスタンダードなショーナンバーですが、彼女が滑ると、決してか弱くならないんですね。かといって強調されるわけでもないのですが、全体のたたずまいが、凛と強い。静かなプログラムと言えますが、その静けさの中に気高さが感じられる、何気に貫録の一本です。

 

http://www.youtube.com/watch?v=0zuM4bDVixY&feature=player_detailpage

 

 

Formidable

 彼女独特の柔らかさを、前面に押し出した作品。ミィディアム・スローのウィスパーがかったヴォーカル曲ですが、もっと明るくも、もっとアッパーにも出来る音楽を、彼女なりに演じると、きっとこんな感じになるのでしょう。さりげないコケットリー、でも、深く沈み込んでいきそうな濃厚な空気感。とても素敵な大人の女性のプログラムです。

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