オクサナ・グリシュク&エフゲニー・プラトフ(ロシア)

【主な成績】

94リレハンメル五輪・98長野五輪金メダル、9497世界チャンピオン、969798欧州チャンピオン

 

 史上最強のアイスダンスカップル――疑いも無く、そう思います。彼ら以上の技術を持つカップルには行き当ったことが無いし、彼らのコンパルソリーを観ていると、そのダンスの本来の姿が美しく立ち現われてくる。その一方、向かい合った時にはドラマを感じない2人ではありました。でも、それさえ個性にして、誰よりもクリーンで速いステップを刻みながら、風のように駆け抜けていった。そんなカップルだったと思います。

 

 

9192シーズン

OSP「オーストリアポルカ」、FD「プレリュードとアレグロ」

 ODは何となく、彼らの故郷であるウクライナのフォークダンスを思わせるような、愛らしい振付です。一転してFDは、モダンな楽曲に合わせて、シャープで自由自在なエッジワークを披露してくれます。最初、この作品を観た時、ああこれがアイスダンスのステップだ、ここまで出来るんだと、目から鱗がばらばら落ちる思いで観ました。あまりにも鮮やかで、それがまた、クライスラー&カンパニーの革新的アレンジにハマっていた。一言で言うと「お見事」、です。

 

OSPhttps://www.youtube.com/watch?v=a2v_4JWHfZc

FDhttps://www.youtube.com/watch?v=sYK1_D5Q4eA

 

 

9293シーズン

FD「ブルース」

 極薄の剃刀で氷の上を切り裂くような、この上なくシャープなスケーティングが堪能出来ます。彼らが滑った後には、プレパラートのカバーガラスのように、触っただけで砕けるほど薄く切り取られた氷が残ってるんじゃないか、みたいな。ただ、これをブルースと言うかどうかは、はて…という感じではある。

 

http://www.youtube.com/watch?v=RKHVqOz9x0A&feature=player_detailpage

 

 

9394シーズン

OD「ある恋の物語」、FD「ロック・アラウンド・ザ・クロック」

 よく滑れているけど、色気とかドラマは感じないルンバに比して、イケイケのFDがいかにも楽しい。彼らの最初のコーチだったナタリア・デュボワは2人を組ませた当初、「エフゲニーと同じエッジの深さで滑れる女の子を見つけた。それも、どんどんスピードを上げていってもズレない」と言っていたそうですが、ある意味そのものの姿が見られるかな。ステップは楽しい、そして素晴らしい。オリンピック・チャンピオンとしては軽いプログラムかもしれませんが(重厚なら良いというわけでは全然無いけど)、一気に駆け上がるだけの勢いは、確かにあったと思います。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=BDYc8lWDDis&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=27cZ4wx8470&feature=player_detailpage

 

 

9495シーズン

OD「クイックステップ」、FD「ステッピング・アウト」

 このシーズンは何故か、ODFDが同じ系統で被ってるんですよね。正統派ステップ系なので、それなりに面白く見られはするんですが、凄いものも何度も観ていると食傷するというか、ちょっと勿体無い気がします。

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=uE_9XOe72B0&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=MoEgkIUrIto&feature=player_detailpage

 

 

9596シーズン

OD「パソドプレ」、FD「マンボ」

 この2人のプログラムには、グリシュクが氷ギリギリに低い姿勢を取ったり、プラトフの脚周りを動くムーヴメントが多用されていますが、ODではかなり印象的にそれらを使って、ケープになりきっています。どっちがパソドプレかと言われればクリロワ&オフシアンニコフだと迷わず言えますが、これはこれで凄すぎる。FDは、またしてもイケイケ系のステップ踏みまくり、踊りまくりですが、これが1番せわしないかな(良い意味で)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=n6pzcrctcks&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=FrpC9QEXAZs&feature=player_detailpage

 

 

9697シーズン

OD「リベルタンゴ」、FD「最後の誘惑」

 このタンゴは…凄まじいですよ。「触れなば斬れなん」という表現は、このサイトでも時々使っていますが、このダンスに触れたら腕1本すぱっと飛びます、きっと。そのくらい、極まってシャープ。彼らが滑るCDのタンゴとは明らかに違う、極北と言っていいくらいの鋭さでターンをし、ステップを刻み、ポジションを変えていく。これほど「圧巻」という言葉に相応しい演技はそうはありません。一方FDは、「向き合って何も生まれないなら、並び立って走ればいいじゃない」という感じ。結局彼らは何をやっても凄いのですが、流石はタラソワと言うべきか、演出とか味付けが絶妙で、まったく新しいもののように楽しめました。

(振付:タチアナ・タラソワ)

 

OD: http://www.youtube.com/watch?v=I8HIFeB04DA&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=LtHh2BeQB1I&feature=player_detailpage

 

 

9798シーズン

OD「監獄ロック」、FD「メモリアル・レクイエム」

 とかく長野でのクリロワ&オフシアンニコフとの対決が取り沙汰されるODですが、どちらがこのダンスの個性かと言われれば、それは間違いなくこちらのカップルなんですよね。同じジャンルの音楽で4年前に五輪を制していることからも、それは明らかです。そして、4年前の、ある意味生真面目でシンプルな振付からすると、一歩踏み出して遊びのある、チャンピオンらしい振付になっていると思う。そして、やはり圧巻なのはFDです。そう、この演技もやはり「圧巻」。音楽は映画「コックと泥棒、その妻と愛人」のサウンドトラックですが、変わることの無いリズムを刻み、メロディをループしながらクレシェンドをかけていく編曲は、ずばり「ボレロ」ですよね。まだトーヴィル&ディーンの影がちらついて、この音楽を使えるスケーターが殆ど居なかった頃です。そしてテーマは「夢半ばに斃れたアスリートたちへの鎮魂歌」――これ、自分たちが倒れたら洒落になりません。そうならない裏付けがあるから掲げられるテーマだと思います。重く、悲痛な響きの音楽に合わせて、振付は意外に淡々としています。ただ、決して澱むことの無い、何よりも美しいターンを、ステップを、次々と刻んでいくだけ。それらがリズムの階梯を登り詰め、音楽のテンションと一体化して、最後には昇天する、そんな演技です。グリシュクがよくやっていた、プラトフの足元ぎりぎり、低い姿勢でのステップは、この演技の中で最も効果的に用いられていますし、ターンの鋭さも、それを導くプラトフのリードの巧さも水際立っている。演技それ自体が、彼らが築き上げてきた、至高の技術と、無二のキャリアのメモリアル。最強のチャンピオンの、最高の一作。

(振付:タチアナ・タラソワ)

 

OD: http://www.youtube.com/watch?v=_Q0FEmW_2L0&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=KXNmarKjyiY&feature=player_detailpage

 

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