ナタリア・ミシュクテノク&アルツール・ドミトリエフ(ソ連)

【主な成績】

92アルベールビル五輪金メダル、9192世界チャンピオン

 

 一見、優雅で骨太な正統派ロシア。でも、よく見るとその美しい流れの中には、さも当たり前の顔をして、独創的なポジションの数々が散りばめられています。それらが突出することはない。でも、埋もれてしまうことも無い。向き合った時に等しい存在感。でもそれは、極めて高い位置での拮抗です。主張することは無いけど恐ろしく強い。そういう、とても興味深い美しさを持ったペアです。

 

 

9192シーズン

SP「ドン・キホーテ」、FS「愛の夢」

 SPは、240秒中多分2分はコーダです。一気呵成という言葉が相応しい、素晴らしい勢いとスピード感で貫かれた作品です。ただ、それが完璧に制御された端正さの中にあるのが、ソ連伝統のペアならではですけどね。一転してFSはお馴染みのあのスローな曲調で、端正かつ優雅な演技ですが…振付が、何気に凄い。1分過ぎの、回転系のムーヴメント(もちろんミシュクテノクの柔軟性を十分に活かしたもの)を連ねていく辺りも美しいですが、その他にも印象的且つ独創的な動きがたくさん出てきます。ラストはデススパイラルを三つ連ねるのですが、最後がビールマンポジションだったりして…でもこれが、とても美しいんですよ。ポジションだけではなく、音楽にはまっているという意味でも、この作品の締めに相応しい説得力がある、という意味でも。このプログラムのすべてが、もしかしたらラストに象徴されているかもしれない。また彼らの特徴を語りつくしているかもしれない。それほど雄弁なフィニッシュです。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=OUTg6MlqvHY&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=7-lIi2YAJyY&feature=player_detailpage

 

 

9394シーズン

SP「ドン・キホーテ」、FS「ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番」、EXEve

 ラフマニノフを使ったプログラムなど、毎シーズン掃いて捨ててもまだ余るのがこの業界の常ですが、彼らほど鋭く、緊張感に満ちた表現をしたスケーターも少ないのではと思います。何しろこの演技の中の彼らには、名ペアなら、そしてかつて彼らなら濃厚に持っていた「2人で1色」的な一体感が無い。元々持っていた強烈な個性のままに向き合って、ぶつかって散った火花から生まれたような演技です。そしてその強さが、彼らの持つ独創性とも見事にハマった、異端の傑作。EXはアンデスのケーナをフィーチャーした音楽で、彼らの持ち味である独創的な動きを堪能出来ます。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=2y6Zh9M6WEU&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=gNDqZuQVcQg&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=0cMoy9TEshY&feature=player_detailpage

 

 

オクサナ・カザコワ&アルツール・ドミトリエフ(ロシア)

【主な成績】

98長野五輪金メダル、97世界選手権3

 

 同じドミトリエフと新しいパートナー。ミシュクテノクとの時とは、似ているようで似ていません。恐らく同じくらいのことが出来る柔軟性は持っていますが、使い方はよりさりげなく、女性は優美に、男性は雄々しく、直球ど真ん中のロシアを演じてくれます。

 

9798シーズン

SP「ツァラトゥストラはかく語りき」、FS「パッサカリア」、EX「悲しいワルツ」

 SPは曲のインパクトがとにかく大きいですが、それにも増してドミトリエフの持つ力強さと重厚感が強烈。その後、FSEXと進むに従って、ドミトリエフがエスコート役として一歩下がり、カザコワの持つしなやかな美しさが逆に増していくような構成です。あのドミトリエフ&パートナーにしては大人しいとも言える超正統派ですが、これほど威風堂々とど真ん中を滑ったペアも少ないというくらい、見事に似合っていました。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=jG0xzSflgSk&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=7gIBchcmnpk&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=_eq17L2wP9U&feature=player_detailpage

 

 

「星に想いを」

 ロシアのペアがプロになって滑っていそうな、叙情的で優雅な作品ですが、これを滑っているカザコワは、他のどんな時よりも優美で目を奪われます。アマチュアの時よりも堂々として風格があるのは、存在感がドミトリエフに追い付いてきた証拠かもしれません。

 

 

「マトリックス」

 曲はお馴染みのあれですが、振付のテーマはマリオネットで、ドミトリエフが人形遣いを、カザコワが操り人形を演じる、ややコミカルで斬新な振付。カザコワが意外に器用で表情豊かだったことも、発見点だと思います。

 

http://www.youtube.com/watch?v=wIk4I8_IM5I&feature=player_detailpage

 

inserted by FC2 system