アルベナ・デンコワ&マキシム・スタヴィスキー(ブルガリア)

【主な成績】

06トリノ五輪5位、0607世界チャンピオン、07欧州チャンピオン

 

 特筆すべきは、その技術力。彼らはまるで、エッジの強弱だけで、すべてを語ってしまえるようです。SF、エキゾチック系、古楽から何から、すべて。深くて鋭いエッジに乗せて、様々な世界を繰り広げたスケーター。そして、高度な技の数々を、強い強度で結晶させて、ひとつの演技に組み上げることが出来ていたカップル。そうして出来上がった世界はいつも、一癖も二癖もある独自の境地でしたけれど、決して観ていて辛くはなかった。何故ならそれはいつも、磐石の技術に支えられた、見苦しさのまったく無い世界だったから。

 

 

0001シーズン

OD「フォックストロット/クイックステップ」、FDXotika

 とても彼らの「味」が出ているODです。ただ…出すぎてて既にフォックストロットじゃない可能性が高そうですね。面白い振付だけどボールルームじゃない。後半のクイックは、スタヴィスキーの動きがとてもエキサイティングで、まだしも見所かな?FDも相当濃く彼らの味を出していて、とりあえずこの曲の、ヘンなところ、音楽に聞こえないところを集めました的編曲で、摩訶不思議なダンスを見せてくれました。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ)

 

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=i6TVlq3D0rQ&feature=player_detailpage

 

 

01-02シーズン

ODFugataSoul of Gipsy」、FDO」、EX「アブサンドリンカー」

 ODは、元のダンスの再現という意味では非常にハイレベルなのですが、これはアルゼンチン・タンゴであってスパニッシュじゃないな、というのが正直なところ。フラメンコは最後のミッドラインステップしか無いので、いまひとつ印象が薄い。FDは「西洋人から見たオリエンタル」を全開にした、やや妖しげな作品。ミステリアスな音楽と全身をしなやかにくねらせる独特の動きでそのムードを倍増させていますが、足元はとてもシャープで、スピードも豊か。そのお蔭で、ベタっとした印象になるのを防げています。EXは…ある意味、傑作。酔っ払いをテーマにした振付ですが、アルベナさん、酔っ払いのフリが上手すぎる。そして、それを支える机役のスタヴィスキーがいじらしすぎる。込み入った作りの楽しい作品なんですが、エッジワークで千鳥足を再現するのって、何気に物凄い技術力だと思う…

(振付:セルゲイ・ペチュコフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=jiIxdlFxxm4&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=sJIN3tEphAY&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=xGgbZ6ZW068&feature=player_detailpage

 

 

0203シーズン

OD「トルコ人の儀式のための行進曲/魔女たちの踊り」、FD「アフラ・バラード」、EX「オブジェクション」

 彼らのダンスカップルとしての弱点に、身長差が少ないために、普通にダンスホールドを組んでもあまり映えない、という点があると思う。このODはそれを逆手に取って、最も鮮やかに活かした作品でしょう。ワルツとマーチ、と言いながら、バロック音楽を用意してきた。18世紀の宮廷ダンスは、雅やかさと、お人形のような愛らしさを両立させていて、他のカップルには何一つ似ていない、独自の世界を作り上げていました。ミラースケーティングの入ったミッドラインステップがハイライトですが、この「向かい合う」というポジショニングもまた、バロックには似合います。FDはエジプトの音楽で、アルベナさんは毒蛇を模した柔らかい動きを、スタヴィスキーは蠍に擬した鋭い動きを見せてくれます。それにしても、足元の強弱のつけ方は本当にお見事!氷を切り裂くようなカーブも、氷に食い込むようなカーブも、見ごたえ十分です。EXはタンゴの「ラ・クンパルシータ」を原曲にしたラテンナンバーですが、前作に引き続き、何処と無く酔っ払い臭いのは気のせいでしょうか。とにかくスーパー・ハイテンションで暴れまくります!

(振付:セルゲイ・ペチュコフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=doyxpzJDK5g&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=Yl6AuOQw7NQ&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=YVlIOxiPwUk&feature=player_detailpage

 

 

03-04シーズン

ODIt’s a Man’s Man’s WorldBig and Bad」、FD「サラバンド」

 ODはブルースとスウィング。特にブルースが、ベタっとした滑りに陥るカップルが多い中、ディープエッジ且つストロングエッジという長所を最大限に活かした、ドスの効いた滑りを披露。スウィングが完全な付け足しに終わっている感もありますが、格好良いダンスでした。FDはエキゾチック系とは一線を画す新境地です。荘厳さとSF風の雰囲気を兼ね備えたヘンデルの楽曲で、イメージは「近未来の神話」といった感じ。際立って独創的なリフトやムーヴメント、意味ありげな手の動き、込み入ったステップ、すべてが見所でしたが、すべての完成度が高く、しかも、素晴らしい結晶度で結びついていて、部分を切り離して語ることが不可能なほど。作品としての完成度の高さは、彼らの中でも屈指の存在でしょう。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ)

 

OD: http://www.youtube.com/watch?v=pReooAbsKS8&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=YLxF_LhJlwA&feature=player_detailpage

 

 

0405シーズン

OD「ビッグバンバンドのチャールストン/You’ve got a friend in me」、FD「バッハ・トゥ・アフリカ」、EX「イン・ヘヴン」

 相変わらずどのダンスも、深くて強いエッジのステップや、イーグル系の斬新なリフト、ムーヴメントでいっぱいです。特にFDには、素晴らしい「力」を感じました。アフリカ音楽とバッハを融合させてしまおう、という無茶苦茶な楽曲を氷の上に載せて、アイスダンスというジャンルで料理してみせたのは、相当な冒険だった筈。でも、その無茶苦茶さを、到底纏まりそうにないものを、強い技術力で纏め上げた。一見、無邪気にも見える、明るい生命力の迸りは、でも、決して何も知らないのではなくて、すべての混沌を踏みしめた上に立っている強さではないかと。その強靭さがまた、アフリカというテーマに絶妙にマッチしていました。EXはバロック音楽で、コミカルなような、不思議なような、妖しいような、でもどこかに不安感が残るような、何とも言えない奇妙な世界観の作品です。

(振付:セルゲイ・ペチュコフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=RnRHNFytcFE&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=jnfpvxgRcmU&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=xjs0Wh9nblE&feature=player_detailpage

 

 

0506シーズン

OD「チャチャ/ルンバ/サルサ」、FD「アルビノーニのアダージョ」、EXYou’re beautiful

 ODは、ある意味では初めて、彼らの「妙なこだわり」を抜きにした作品かもしれない。彼らの中では際立ってオーソドックスです。でも、強烈なビートが強いエッジを活かしていました。FDは、最初の頃は、あまりにもダイナミックで反則を取られてばかりのリフトに目がいっていましたが、完成してくると、圧倒的に深くてシリアスな世界観に引き込まれました。SF風のアレンジになっていますが、名付けて「近未来の神話・アポカリプス編」。「サラバンド」が明けの明星の輝きだとしたら、このアダージョは世界の終わりの夕焼けの色じゃないか、というくらい、深刻で劇的な美しさを持つ作品でした。そしてすべてが終わった後には、この年のヒットナンバーに合わせた、肩の力を抜いたEX。これも彼らにしては、奇跡的なくらいオーソドックスだったな。

(振付:ナタリア・リニチュック)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=K6VMTE83Bdw&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=Tads6UWmvDI&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=oDWOQw8ddt4&feature=player_detailpage

 

 

0607シーズン

OD「リベルタンゴ」、FD「七つの大罪」、EX「哀歌」

 彼らは微妙にODを外すシーズンが多かったですが、これは名作。あの聞き慣れた、寧ろ聞き飽きたほどの音楽を、鋭くワイルドで色っぽい、観たことの無いタンゴに仕上げてくれました。確かにタンゴなんですよ。でも、こういう表現があるとは初めて知った。恐らく、小柄でがっしりしたスタヴィスキーにタイを結んでも似合わない、というところから発想しているんだと思いますが、災い転じて福以上の効果があった。振付も雰囲気も、触ると火傷しそうな雰囲気ですが、痺れそうに格好良いタンゴです。FDはそれに比べるとやや弱かったですが、相変わらず技術的には素晴らしく豪華でした。EXは平井堅のナンバーですが、とりあえず彼らにこの曲を紹介してくれた誰かに感謝。何処まで意味が分って滑っているかは分りませんが、FDよりよほど悩ましく、妖艶で退廃的な世界観に酔いました。

(振付:ナタリア・リニチュック)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=6LASVv_44eY&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=IQO8bYFgJSo&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=xwVIkBR-2eo&feature=player_detailpage

 

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