カロリーナ・コストナー

【主な成績】

14ソチ五輪銅メダル、12世界チャンピオン、07081012欧州選手権優勝

 

 彼女がスパイラルをする姿は、大鳥が空を舞うような、えもいわれぬ快感をもたらします。グライディングという言葉が彼女ほど似合うスケーターは居ないでしょう。長身、そしてそれほどの大きな流れを持ち味としながらも、繊細で、歯切れの良い動きも持っています。伸びやかさと細やかさ、優雅さと鋭さ、相反する個性の絶妙な調和が、彼女の滑りの醍醐味です。

 

 

02-03シーズン

SP「パッヘルベルのカノン」、FS「愛のイエントル/シンドラーのリスト」

 シニアデビューのシーズンですが、この時既に、少女離れした流れとスケール感を持っていました。FS33を二つとか、ジャンプの切れの良さも群を抜いていたし、動きも既に洗練されていて、あとはただ音楽に合わせるだけで、シニアで上位に食い込める質になっていたという。色気が無くスポーティで表現も薄味な部分で少女らしさが出ていて、こましゃくれた印象にもなっていなかったですし、とても良く出来た16歳だったと思います。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=KZBz7juIsg4&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=28djAK9g4-0&feature=player_detailpage

 

 

03-04シーズン

SP「シークレット・ガーデン」、FS「ヴァネッサ・メイ メドレー」

 更にスピードアップした次のシーズンですが、そのスピードを制御出来ずに、バタバタ転ぶようになったのもこの頃かもしれない(苦笑)それと、ヴァイオリンの音色も、メロディアスで個性がありすぎない楽曲も彼女には似合っていますし、ちゃんと音も取れていているんだけど、唯一FS終盤の「トゥーランドット幻想曲」だけは、置いて行かれてますね。どれだけ音楽に合わせて動いても、彼女の身の丈にあっていなかった。良く出来ていても子供だったんだ、ということかもしれません。

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=HuwrdXlFVRc&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=qGZ8Gu_shO0&feature=player_detailpage

 

 

04-05シーズン

SP「カントリー」、FS「プロコフィエフのピアノ協奏曲」

 長じてモダン系の表現を得意とするようになるカロリーナですが、スタートは恐らくここでしょう。特にFS。疾走系のプログラムなので目立ちませんが、プロコフィエフなので、曲は決してキャッチーではないです。そこにナチュラルに少女趣味の衣装と可愛い決めポーズを配して滑ってしまえた彼女は、やはりこういう曲と相性が良いんでしょうね。

 

SP: http://www.youtube.com/watch?v=2mHrWWWdp-g&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=omkV2Za9nws&feature=player_detailpage

 

 

05-06シーズン

SP「ガブリエルのオーボエ」、FS「四季」、EX「アヴェ・マリア」

 晴れ晴れとした印象のSPは、彼女のグライディングの真骨頂でしょう。最高に心地良いスパイラルです。FSは「冬」ですが、細かい音を捉えつつ疾走していく最初と最後のパートも、ややノスタルジックで優しい印象の中盤アダージョも、大人になりつつある彼女に最高に似合うものでした。願わくばこの作品で、地元イタリアのトリノで、もうすこし面目を保つ演技を…というところでしたね(苦笑) EXは天使の羽のような衣装を纏っていて、何かにつけてそれが本当の翼に見えるという、よくあるようで実際にやるのは難しい作品です。

(振付:メーガン・スミス&カート・ブラウニング)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=V3DI39HG918&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=8NBNa9X-4MU&feature=player_detailpage

 

 

06-07シーズン

SP「パッヘルベルのカノン」、FSSAYURI」、EX「カロリーナのために」

 2度目になるSPのパッヘルベルは、持っている空気感が優しいので、こういう清楚な音楽がとても似合いますし、流れを最大限美しく見せる構成にもなっています。FSはどちらかというと和太鼓やお囃子をメインにした編曲で、彼女のモダン系の動きの上手さ、細かい音を残らず拾っていくリズム感を存分に味わえる構成。この音楽を使ったスケーターは日本人も含めて何人も居たけれど(まあ日本映画じゃありませんが)、イタリア人の彼女が最も挑戦的な表現をしたなと思います。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=-XX1kxQLMsw&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=QVtrbjteQg4&feature=player_detailpage

 

 

07-08シーズン

SP「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」、FS「ドゥムキー・トリオ」

 これまでもモダンな印象の作品は多々滑ってきましたが、このシーズンはSPFSともその系統で揃えてきたのが功を奏した感がありますね。ドライヴ感があって歯切れの良いSPが白眉。そしてSPのハイライトは、思いっきり長く取ったスパイラルでしょう。FSはやや地味かなと思いますが、やはり彼女の細かく音を取っていく感覚をよく活かした作品だと思います。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=497d5stpQS0&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=qcC3MX1xVfM&feature=player_detailpage

 

 

08-09シーズン

SPMujer Sola/Canaro en Paris」、FS「ドゥムキー・トリオ」

 このSPはタンゴなのですが、所謂フィギュアで演じられるタンゴのカテゴリーからはすこし外しているかも。曲調そのものも、例えば「ラ・クンパルシータ」のような分かりやすいタンゴではないですし。どちらかというと憂愁の色合いが強いメロディで、前半はゆったり全身を大きく使って、後半は細かい音を徹底的に拾ってという、カロリーナのセオリー通りに表現されています。しかし、そのセオリーにきちんとはまると、いつもとても美しい作品に仕上がるんですよね。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=etzNvYIA68Y&feature=player_detailpage

 

09-10シーズン

SP「夜想曲第20/ヴァイオリン協奏曲」、FSG線上のアリア/チェロ協奏曲」

 どちらの作品も、古雅な印象の音楽で組まれています。確かにカロリーナに似合う音楽とは、例えば「カルメン」や「白鳥の湖」のような超王道よりは、古楽かいっそモダンなものというイメージがあり、特に「G線上のアリア」など、とてもエレガントに演じられています。ただ…これはこのシーズン、彼女が総じて不調だったこととも関係があるかもしれませんが、全体的に大人しすぎた感は否めない気が。もうちょっと華やかなアピールがあっても良かったと思います。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=XyM_GETsRXs&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=x9sDEMx37P8&feature=player_detailpage

 

 

10-11シーズン

SP「ガリシアフラメンコ」、FS「牧神の午後への前奏曲」

 SP2シーズン前のタンゴのフラメンコ版という感じです。元々北部ガリシアの音楽なので、私たちがフラメンコと聞いて思い浮かべるところとは、また文化が違うかもしれませんしね。全身をくまなく使ったステップシークエンスがとても見ごたえのある作品です。そしてFSですが…この眠たげな音楽にカロリーナのスケーティングを合わせるといい、ということに気付いた人は天才だと思う。ゆったりした管の音が、確かに、カロリーナの滑りが持つ大きな流れと絶妙に合うんですよ。そして、バレエを知っていると「…」となるテーマですが、カロリーナが滑るととても上品な印象に。素晴らしいアイデアだと思います。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=JXLkEEr27yA&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=dEHzfiygvtU&feature=player_detailpage

 

 

11-12シーズン

SP「ピアノ三重奏曲第二番」、FS「ピアノ協奏曲第27番」、EX「ハレルヤ」

 カロリーナに似合うのは、いっそ古いか、いっそ新しいか。前の方のシーズンでそんなことを書きましたが、このシーズンの組み合わせがまさしくそうですね。ショスターコヴィチを使ったSPは、彼女が持っている歯切れの良さ、細やかさを活かした振付で、一挙手一投足が空間を切り取っていくかのような、緊張感のある仕上がりです。一方FSは、古楽と言うほどは古くないですが、モーツァルトなので古い方には属します。この曲は、「疾走する悲しみ」とも言いますが、序盤はそのものずばりな表現ですね。終盤、曲想が明るくなってからの空気の切れ変わりも見事ですし、スピード感と流れの美しさは、やはり抜群でした。そして最後に、穏やかなEXで癒されます。

(振付 SP&FS:ローリー・ニコル、EX:ステファン・ランビエール)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=bs3u8Fe1Vqk&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=ONViuMXi2nE

EXhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=phJJTARwm20

 

 

1213シーズン

SP「トランシルヴァニアの子守唄/悪魔のトリル」、FS「ボレロ」、EXIt’s oh so quiet

 小芝居を織り交ぜたSPは彼女にしては珍しい傾向ですが、シャープさや細やかさを前面に押し出すという意味では、いつもと同じ傾向なのかも。一転してFSは、大きな流れのある滑りを最大限に活かしたプログラム。「ボレロ」とは、一瞬でも流れを閉ざしたら死んでしまう音楽です。彼女の場合は音楽の中盤の部分をたっぷり使って、そのふくよかな「流れ」を強調していたと思います。終盤のパワーにだけは、若干欠けたかもしれませんが。そしてEXは、少女時代の彼女を彷彿とさせる、可愛らしい作品です。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=5suwKlI9ZB4&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=jzq5WrEFjiw&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=9tp0fdmki8w&feature=player_detailpage

 

 

1314シーズン

SP「ユモレスク」「アヴェ・マリア」、FS「シェヘラザード」「ボレロ」、EX「シェヘラザード」

 五輪シーズンなのに、まさかのSPFS両方没。でもこれが、大当たりでした。「ユモレスク」は確かに彼女らしい音楽だし、細かな音の捉え方は面白かった。ただ、必殺の一撃かと言うと、地味なんですよ。その点「アヴェ・マリア」は、どこまでも伸びやかで広がりがあり、彼女の滑りの最も美しい部分を堪能出来ました。まるでシルクのマリアヴェールを広げたような、蕩けるようなスケーティング。絶品です。

 でも、絶品と言えば何よりも、リバイバルされた「ボレロ」でしょう。そこにあるのは命の息吹のようなもの。音楽が持っている生命の躍動感を、見事に表現していたと思います。息を大きく吸って、吐く。一定のリズムで、鼓動を刻む。ボレロの三拍子が、まるでその営みのようにも聞こえました。滞りなく、豊かで澱みない、大きな流れを持つスケーティング。その中に組み込まれていくと、他のスケーターがやれば必ず鼻に着く、ベジャール風のポーズも何故だか自然で、さらさらと流れてゆく。その一方で、とてもフェミニンで愛らしい雰囲気も散りばめられている。何度観ても、ああ、これが「ボレロ」だ、私にとっての「ボレロ」は、トーヴィル&ディーンではなくこれだ、と感じ入ります。

(振付:ローリー・ニコル)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=qX6mEiQARl8&feature=player_detailpage(ユモレスク)

  http://www.youtube.com/watch?v=43vgYwUcjUs&feature=player_detailpage(アヴェ・マリア)

FShttp://www.youtube.com/watch?v=YkaauH9afAg&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=Ya_nDrE8WQU&feature=player_detailpage

 

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