シェイリーン・ボーン&ヴィクトール・クラーツ(カナダ)

【主な成績】

98長野五輪・02ソルトレイクシティ五輪4位、03世界チャンピオン、9903四大陸選チャンピオン

 

 明るく、華やかで、軽やか。美貌で知られたボーンですが、その芸風もまた、容姿にぴったりなものでした。スポーティと形容されたステップは、実は難易度的にはそれほどではなくても、いつも見応えは抜群。順位を見ても分かる通り、戦略ミスが多くて足踏みが長かった2人です。その他にも、リンク外の雑音が色々あったりとか。でも、彼らが居るだけで、試合はいつも楽しかった。長野からソルトレイクシティまでのタームの、欠かせないメインキャストです。

 

 

9798シーズン

OD「ジャイブ」、FD「リバー・ダンス」

 彼らの特徴のすべてが、ある意味このシーズンの作品の中にあるかもしれません(苦笑) ともに軽やかで明るく、洒脱な雰囲気のダンスです。特にFDはアイリッシュステップを模したトゥステップが効果的に取り入れられていて、見応えは十分。でも…どちらも、せっかく速くて細かいステップなのに、ポジションやホールドがあまりにシンプルなんですよ。ODではハンドトゥハンド、FDではサイドバイサイド。絶対にステップを踏む足が絡んだりぶつかったりしないように作ってある。あるいは、その逆とも言えるんですけどね。何のかんのと言いながら、特に「リバー・ダンス」は彼らの代表作の一つでもあり、私のお気に入りでもありますから。

(振付:ナタリア・デュボワ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=m4_cDouhvHk&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=pZxdCZUAPjo&feature=player_detailpage

 

 

9899シーズン

FDMeet Her at the Love Parade

 彼らの歴史の中でも、抜きん出て野心的な作品だと思います。流石、トーヴィル&ディーンと言うべきか。音楽は、一切のキャッチーさを排した、メタリックな印象のテクノ。そして、短いフレーズの無限ループです。テンポだけは異常に良い、音楽とも言えないような音楽に、ひたすらステップを載せ続ける構成。それは彼らのスムーズで澱み無く軽快なスケーティングだからこそ出来ることであり、いつもは足りない難易度や独創性を、トーヴィル&ディーンのアイデアが絶妙に補っていました。

(振付:ジェーン・トーヴィル&クリストファー・ディーン)

 

http://www.youtube.com/watch?v=T3F3DP1u_Co&feature=player_detailpage

 

 

0001シーズン

ODJumpin’ JackDancin’ Fool」、FD「マーチ・ウィズ・ミー」、EX「マック・ザ・ナイフ」

 タラソワ・マジックが別に炸裂しなかったシーズン(苦笑) プログラムは良作だと思いますけどね。ODは、ちょっと彼らの味を出しすぎてボールルームから離れちゃったかな、という印象はありますが、特にクイック部分のスピーディなステップは面白かった。FDは、音楽はゴージャスですが、意外とやっていることは従来の彼らと同じクリーンなステップワークです。リフトの織り交ぜ方や音の取り方など、キャッチーさを加えたのはタラソワの手腕ですが、音楽を聴いて受ける印象よりはずっとリズミカルかつ軽快な滑りだったと思います。EXはボーンのコケティッシュな魅力が炸裂していますが、ある意味クラーツが情けな系だから映えるとも言える。寸劇風のエンタテイメントです。

(振付:タチアナ・タラソワ&ニコライ・モロゾフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=YbxRmrUyuLY&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=CMqpwnFLZw8&feature=player_detailpage

 

 

0102シーズン

OD「フラメンコ/セルブロック・タンゴ」、FD「マイケル・ジャクソン メドレー」

 彼らの美しいところと残念なところが凝縮されたようなシーズンかもしれません。残念なのは、とりもなおさずODでしょう(涙) 素人目に観ても明らかに簡単すぎるんですよ。ステップシークエンスの間ずっと同じホールドだとかね。あと、「セルブロック・タンゴ」をスパニッシュにするには無理がありすぎた。このシーズン、多くのカップルがタンゴを踊ってアルゼンチン方面に走ってしまいましたが、彼らはそれとも違う何かをしでかしていましたので…一方FDは、洒脱で華やかで、まさしく彼らの美点を凝縮したような作品でした。言われてみれば確かにトゥステップの量がやたら多いのは確かですが、シャンパンの泡が弾けるような軽やかな滑りは代えがたいものだったし、ゆったりしたストレートラインステップがいかにも粋でした。

(振付:タチアナ・タラソワ&ニコライ・モロゾフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=9p3vJUOoX8M&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=o2pOhFF9UAM&feature=player_detailpage

EXhttp://www.youtube.com/watch?v=d5iqGLsLsmY&feature=player_detailpage

 

 

0203シーズン

OD「春の声/雷鳴と電光」、FD21世紀アダージョ」

 彼らのラストシーズンです。ODは軽やかなワルツとタンゴで、彼らのODとしてはかなり良く出来ている方ではないかと思います(特にワルツ)。そしてFDは、公平な目で観て彼らの最高傑作でしょう。音楽も振付も、洗練されて近未来的。彼らの持つ質の良い滑りが最大限強調されていて、シャープさと流れの良さが、音楽・振付を更に活かしている。意外と地味ですし、私はやはり彼らには明るくて軽やかな滑りを期待していたので、正直、当初は戸惑い、味気なくも思いましたが、何年も経ち、何度も観て、やっと価値がわかった気がします。でも、このシーズンの白眉は、やはりエニグマのナンバーを使ったEXでしょうね。やはりこちらも、とても洗練された雰囲気で、モダンな振付。でも、「滑る」ことの可能性を極限まで追求した、野心的な作品でもあります。彼らのキャリアの、この作品が終着点になりますが、究めたもののすべてが、そこに結実しているような気がしました。

(振付:ニコライ・モロゾフ)

 

ODhttp://www.youtube.com/watch?v=fPjT4mS1iuM&feature=player_detailpage

FDhttp://www.youtube.com/watch?v=J0c55JUbCtI&feature=player_detailpage

EX https://www.youtube.com/watch?v=Cfc3g-QLmMg

 

 

「オール・ザット・ジャズ」

 クラーツとは袂を分かち、ソロのアイスダンサーとしてボーンが滑った作品ですが…ジャンプはおろかスピンさえ無くても、カート・ブラウニングじゃなくても、パフォーマンスは成立するんだなぁ、という思いに、目から鱗をばらばら落としました。滑りの質と、演技力と振付。それで十分なんだ、と。そしてまた、勝ち気で華やかでコケティッシュなキャラクターが、ボーンの個性にハマりすぎるほどハマっていました。数ある女子スケーターのショーナンバーの中でも、指折りのお気に入りです。

 

http://www.youtube.com/watch?v=fRTO2GW723M&feature=player_detailpage

 

inserted by FC2 system