アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ(イタリア)

【主な成績】

14ソチ五輪6位、14世界チャンピオン、14欧州チャンピオン

 

 彼らのことはデビュー当初から知っていて、お人形さんのような可愛いカップルだなぁ、と思いながら、長く横目で見ていました。それが、いつの間にか、ヨーロッパのアイスダンスが持ち続けている「味」とか「優雅さ」のようなものを代表するカップルに成長していて、ある日びっくりしてファンになった次第です。イタリアのカップルだけに、演技は朗らかなムードのものが多いですが、それ以上に洒脱で品があって、何より二人が向かい合った時に素敵な物語が感じられる。そんなエレガントな大人のカップルになってくれていました。

 

1213シーズン

SD「略奪された七人の花嫁」、FD「カルメン」

 SDはスタンダードです。ただ、彼らはウィンナワルツっていう雰囲気ではないので、この、微妙に野暮ったいけど明るい雰囲気の選曲&振付は効いていると思う。

そしてFD。古くはナタリア・ベステミアノワ、あるいは一時彼らのコーチでもあったアンジェリカ・クリロワ、同じシーズンではテッサ・ヴァーチュー。アイスダンスでカルメンを演じたスケーターは数多く、錚々たる名前が並びます。そして強いカルメンたちだった。特にクリロワとベステミアノワは、血の香りがしそうでした。もちろん妖艶さもありましたが。でも、彼女たちと比べても悩ましい存在に見えたのは、ベビーフェイスのアンナが演じたこのカルメンだったのではないでしょうか。コケティッシュで情熱的、華やかで気まぐれで奔放で我儘で…そして、あっと驚くほど良い女なのです。バレエでアレッサンドラ・フェリが踊ったカルメンに、すこしだけ似ているかもしれません。濃厚でドラマチックなカルメンは珍しくもありませんが、とにかくアンナの魅力にまかれてしまった作品でした。

(振付:リュドミラ・ヴラソワ)

SDhttps://www.youtube.com/watch?v=qVZB_hAWkCg

FDhttps://www.youtube.com/watch?v=W9lkaLInlk0

 

 

1314シーズン

SD「四十二番街」、FD「セヴィリアの理髪師」

 このシーズンの作品は、世界チャンピオンになったから、というだけではなくて、代表作と呼べるものが揃っていると思います。彼らはSDではてらったことは殆どしないカップルなんですが、これはまるでSDのお手本。レトロで賑やかな音楽が彼らにぴったり合うし、すべてのステップがこの上なく明快で観易い。

 FDは、すくなくともフィギュアをよく観る程度にクラシックに馴染んでいる人なら全部聴いたことがあるであろう、耳慣れた音楽。そしてとてもキャッチ―ですが、使い方がいちいちニクイんですよ。最初のステップシークエンスが特にそう。この音楽に、こういう風に合わせるのか、と。シンプルだけどとても上品ですよね。それから、最初に二人で向き合ってお辞儀をするところとか、最後にアンナが肘鉄打つところとか、やらなくてもいいような、あったからって何点になるか分からないような無数の小芝居が効いている。二人の間に、二人ならではの物語がある。そんな素敵なアイスダンスです。

SD: https://www.youtube.com/watch?v=C7lZAfmalo4

FDhttps://www.youtube.com/watch?v=9SfOa2Puteo

 

 

1415シーズン

SD「ファンダンゴ/パソドプレ/スペイン奇想曲」、FD「死者の舞踏」

 SDはスペイン舞踊の中の華やかさを抽出したような作品で、彼らが持つ陽性のエネルギーを、これまでで最も強く放出しながら滑っている感じです。スペイン舞踊だから当然なのですが、ビシッと決まる動きのひとつひとつが格好良い。

 一方FDは彼らの中では異色の選曲なんですが、案外決まってるんです。やっぱり、彼らの動きは観易い。それで、いつもの彼らのムードじゃないからこそ、ひとつひとつの動きの質の良さを堪能出来る気がします。そして、アップテンポが続く曲だからこそ、それらを一気に観られる。もしここでパパダキス&シズロンというニューウェーヴが来なかったら何が起こっていただろうと、これを書くために観直して思いました。

SDhttps://www.youtube.com/watch?v=TWa1IY_4pjs

FD: https://www.youtube.com/watch?v=92loyHJd-zM

 

 

1516シーズン

SD「メリー・ウィドウ」、FD「ニーノ・ロータ メドレー」

 アンナが魅力的な女性なのはよく知っていましたが、ルカがダンディで格好良いのに、ここで初めて気づきました。ごめん、ルカ……でも、この二人、並んで立った瞬間に、もうハンナでダニロなんですよね。流行の最先端には居ないけど、優雅で余裕のある大人の男女。

 FDのニーノ・ロータは、フィギュアで使うとただ明るくて無害な演技にも、コミカルで可愛いだけの演技にもなるんだけど、彼らが滑ると絶妙にセクシーで、ちょっと悪いことしてる感があるのが素敵です。もちろん、コミカルでもあるし可愛くもあるんだけど、その絶妙な毒の甘さが、彼らの味だなと思います。

SDhttps://www.youtube.com/watch?v=AbR1h6STStY

FDhttps://www.youtube.com/watch?v=0gXw_EkMBJ8

 

 

1617シーズン

SDCry For MeChoo Choo Boogie」、FD「ライムライト/街の灯」

 レトロなものが、一周回って最先端の流行になることがあります。このSDはまさしくそんな感じ。彼らのいつもの得意技な筈なのに、どうしてこんなに洗練されてお洒落なんだろうと思います。

 一方のFD。私はチャップリンの映画は詳しくないので、ルカが本当に似ているのか、上手いのかはコメントを差し控えますが、一挙手一投足がコミカルで可愛いのは確か。そして、この振付には「あざとさ」を超えていく何かがあります。人に見せるために作ったものには、「こうすればこう見えるだろう」という意図が必ずあって、それが見え透いていることを「あざとい」というわけですが、正直、このプログラムにもあります、あざといところ。端的に言って終盤のスローパートに入るところの、大きなカーブリフト。あれなんてもう、狙い澄まして感動させようとしてますよね。でも、どんなに見え見えでも、参りましたと言って感動してしまう。そういう演技です。そして最後のちっちゃな可愛いリフトに、途轍もなく癒されます。

SDhttps://www.youtube.com/watch?v=jj858W3gfTI

FDhttps://www.youtube.com/watch?v=al-RoBXm6Xs

(振付:リュドミラ・ヴラソワ)

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