アリーナ・レオノワ(ロシア)

【主な成績】

10バンクーバー五輪9位、12世界選手権2

 

 作品毎にキャラクターを強く打ち出して、演じる。それが彼女の個性であり魅力です。女子シングルという競技でとりわけ重んじられる、美しさでも可愛らしさでも無いもの。臆することなく、正面切って、大胆にそういう存在であれる彼女は、女子の中では破格の個性を持ったスケーターでしょう。女性美以外のもので勝負出来るのですから。そしてまた、キャラクター毎に変わっていく豊かな表情が、たまらなく魅力的なスケーターでもあります。

 

 

0910シーズン

SP「ロシア民謡」、FS「キャバレー」

 これほど明るく健康的な「キャバレー」は他には無いでしょうね。まだ十代の少女だった彼女ならではです。そしてそのキャラクターは、素朴で垢抜けないけれど愛らしく、「滑ることが楽しくて仕方ない」という雰囲気のSPで、より強く打ち出されています。思わず微笑んで、手を叩いてしまうようなキュートな女の子。それが、このシーズンの彼女のキャラクターでした。

(振付:タチアナ・タラソワ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=sC9pHqmqdvw&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=Gg4Oli5GDUw&feature=player_detailpage

 

 

1011シーズン

SP「サーカス」、FS「イーストウィックの魔女」

 SPはクラウン、あるいはマリオネット風のパントマイムが多用された、すこしミステリアスな雰囲気。エレメンツの合間に呼吸をするようにそれ風のポーズが織り込まれていて、さりげなく凝った作りです。一方FSは、これは確かに「魔女」ですね。コケティッシュに見える部分もあるけれど、腰が曲がった醜い老婆でもいけてしまう、きつい表現もあるから。この作品はとにかく音の取り方が抜群に上手くて、別のところに合わせれば普通に使えるようなエレメンツを、絶妙の位置に絶妙のタイミングで配して音楽表現にしています。それで上記の表現が出来てしまうのだから、彼女の演じる力は素晴らしいと痛感しました。

(振付:タチアナ・タラソワ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=mCh9ygQn2WA&feature=player_detailpage

FShttp://www.youtube.com/watch?v=cHcQdY1c7Mk&feature=player_detailpage

 

 

11-12シーズン

SP「セイレーン/パイレーツ・オブ・カリビアン」、FS「バーバーのアダージョ/レクイエム・フォー・ドリーム」

 SPは、もう絶対に彼女にしか出来ないと言わせる傑作です。フィギュアスケートで、例えば女性海賊を演じるというなら確実に要求されるのは、凛とした美しさや妖艶さでしょう。フラッパーな可愛らしさでもいいかもしれない。でも彼女は、そのどれでもないものを演じた。ハイライトは、こんなに時間を使っていいのかと思ってしまうほど、充実したストレートラインステップ。ここで彼女が見せる表情は、どちらかと言えば、少年海賊のそれでしょう。剽悍でおどけていて、快活で。演じるという意味で、これ以上は無い密度です。一転してFSは、仮面を脱ぎ捨てたシンプルな演技。確かにモロゾフ臭さが気になる振付ではありますが、今までいつも何かの皮を被っていた彼女が、ごく普通の方法論で、ごく普通のスケーターとして勝負も出来るというのは、かなりインパクトが強く、SPとのコントラストという意味でも印象深いものでした。

(振付:ニコライ・モロゾフ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=rzTELcwG_TY&feature=player_detailpage

FS: https://www.youtube.com/watch?v=nGOYLtkbzpY

 

 

1213シーズン

SP「スラムドック・ミリオネア」、FS「海の詩人」「アランフェス協奏曲」「バーバーのアダージョ/レクイエム・フォー・ドリーム」

 インドの音楽を使った作品はたまにありますが、ボリウッドの賑わしさに最も近かったのは、彼女かもしれませんね。とてもパワフルで楽しい作品でした。FSはなかなか完成に至らず二転三転してしまったのが悔やまれます。「海の詩人」も「アランフェス」もスパニッシュ・テーマで、しっとりと情熱的な演技を模索したものと思われますが…

(振付:ニコライ・モロゾフ)

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=9BjL6VfHh7k&feature=player_detailpage

FS: http://www.youtube.com/watch?v=eurG8eEzzYI&feature=player_detailpage(海の詩人)

 http://www.youtube.com/watch?v=tyma9qswBog&feature=player_detailpage(アランフェス)

 

 

1314シーズン

SP「バリニヤ/カリンカ」、FS「カルメン」

 SPは原点回帰で、懐かしい作品をブラッシュアップ。久しぶりに、弾けるように元気な彼女の笑顔を堪能出来ました。一方のFSは、彼女の王道であり、フィギュアスケートの王道でもある音楽です。今まであまりに多くのスケーターが演じてきたキャラクターを、敢えて彼女が演じてみる。その点では、若干の物足りなさも残ります。確かに表情豊かではあるんだけど、全身を使って音楽を活かした表現というより、顔芸になってしまっているかな、と。もうすこし躍動感のある演技が出来たら、彼女の代表作にだってなれたであろう作品選びなだけに、非常に惜しまれます。

(振付:ニコライ・モロゾフ)

 

SPhttp://www.youtube.com/watch?v=kw75jaMY97M

FShttp://www.youtube.com/watch?v=Yc47HolnF0Q

 

 

1415シーズン

SP「チャップリン」、FS「ブエノスアイレスの秋」、EX「タンゲーラ」

 まずは、SPの表現に脱帽。女子でコメディをやっても受けないというのは、既にフィギュアスケート史上の常識みたいなものなんですが、彼女はその埒外を行って観る者を驚かせます。全身の豊かな表情と、性別を超えて、卓越したキャラクター性。絶対に、彼女にしか出来ない軽業。一転してFSEXでは、「女子でタンゴを滑るならこう」という、パワフルで艶やかな演技を見せてくれます。男子だと、タンゴ風の足さばきとかホールドを組んだような手振りでそれなりに雰囲気は出るんですが、女子の場合はそれよりも、音のインパクトを外さないことだと思う。思えば彼女は、それが上手くやって色々なキャラクターを演じてきたわけで、意外なところでその名人芸を堪能出来ました。

(振付:オリガ・グリンカ)

 

SPhttps://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=WDQa-LpIID0

FShttps://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=sLZ1xOUcD2g

EXhttps://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_T-Sp3x8gx8

 

inserted by FC2 system