一日の中に、最高と最低が交じり合っていたといいますか…本当に疲れる一日でした。最初に書いておきますね。私はこの大会のダンスの採点にはものすごく不満を持っています。なるべく冷静に書くよう努力はしましたが、或いは読んでくださる皆様に、ご不快な思いをさせてしまうかもしれません。ですので、そういうのはちょっと、と思われる方は、ダンスのところは避けて読んでくだされば幸いです。

 

女子SP

 えー、私が観戦に行くと、必ず荒れ模様の試合になります。本当に。01年のGPファイナルの最終日では、ゲイブルともあろう者が四回転を一度も決められず、男子ではプルシェンコ、ペアでは申&趙だけがノーミスでしたし、同年のNHK杯でも、女子FSで全員が転倒し、男子SPでもノーミスが二人という惨状でした。そして今回も…私は第二不ループの途中からしか観ていないんですが、そこから先、ノーミスだったのは、スロヴァキアのバビアコワ、ステップからのフリップの着氷後にぐるっと回ってしまったのを大目に見てリアシェンコ、村主さんに恩田さん、スルツカヤという、これまた惨状。どうしたもんでしょうね??

到着したとき、ちょうどバビアコワの演技が始まるところでしたが、前述の通りノーミスで、ガッツポーズも出ていました。オリンピックの解説によると、彼女には小さな坊やが居るんだそうですね。そういう話を聞くと応援したくなってしまう人なので、何となく嬉しかったです。その後スペインのアンドラーデ、クロアチアのイドラ・ヘーゲル(これ、凄い名前ですよね)とそれぞれひとつずつジャンプにミスがあったんですが、まあ第二グループはこんなもんでしょう、とたかをくくっていました。

そうしたら、どうしたことか、まあ、皆さん調子の悪いこと!特にステップからのトリプルジャンプで崩れる選手が多く、これを綺麗に決めていた選手は殆ど居なかったと思います。ユベールがフリップをシングルにして、続くソルダトワとチェコのクラウソワはジャンプはすべて失敗。特にソルダトワは、数年前の溌剌とした演技を知っていますし、スパイラルなどが綺麗だったので、余計に痛々しかったです。この後フォンタナも転倒しています。ただ、彼女のSP「ある恋の物語/アナザー・チャチャ」は最高にノリがよく、軽快なステップに大きな拍手が出ていました。オリンピックも、SPは素晴らしかったので残念です。ウォーミングアップでは調子も良さそうで、最初に綺麗な3ルッツ+2トゥを決めていたヴォルチコワまでフリップで転倒。でもこのグループの中では、やはりヴォルチコワが群を抜いている感じでした。スケーティングには定評のある選手ですが、やはり生で観ると綺麗ですね。本当に伸びやかでよく滑る。彼女には本当に期待しているので、演技にも伸びやかさが出るともっといいのですが。

第三グループはリアシェンコから。さっきも書きましたが、3フリップの着氷後、ぐるっと一回回ってしまいましたが、ともかくノーミス。彼女のSP「ショコラ」はお気に入りのナンバーです。テンポよく軽快なストレートラインステップ、上半身の美しい動き、何もかもがリアシェンコらしくて素晴らしい演技でした。ここでまた思ったんです。「やっぱりさっきのあれは、グループが早かったからなんだ、ヴォルチコワも本調子じゃないんだ」と。そうしたら、次のロビンソンが、ダブルアクセルを踏み切り損ねるという珍しいミスをしました。他のジャンプも綺麗には決まりませんでしたし。オリンピックでは素晴らしい演技だったので、かなり意外に思いました。フィンランドのポイキオは、スピンが綺麗な選手でしたけど、やっぱりジャンプでミスがありました。

それからターシャ。オリンピックでは、パーフェクトのSPだったのにいい得点が出ず、インフルエンザで途中棄権ということで、かなり悔しい思いをしたことと思います。是非とも雪辱を果たして欲しかったんですが、例によってフリップで転倒。コンビネーションも、3ルッツでオーバーターン
。後から跳んだダブルアクセルは綺麗に決まっていたので、本当に惜しいとは思うんですけれど。でも、彼女のスケーティングの冴え、ステップの中に組み込んであるターンの正確さ、スピンや成功したジャンプのポジションは、お手本のように綺麗ですね。そんなことを考えながら音楽を聴いていたら、涙が出てきてしまいました。そもそもこのグループは、マリアが棄権したということで、すごく悲しい気持ちで観始めたので、それも手伝ってはいたと思うんですが、この「シークレット・ガーデン」もお気に入りのプログラムだし、惜しいし、感動もしているしと、複雑な涙でした。第四グループ最終滑走はジェニファー・カーク。一人で勝手にもっと小柄な女の子かと思っていたので、ちょっと驚きました。彼女は、典型的な最近のアメリカの若手という感じがします。何でもそこそこ出来るけど、強烈な個性やアピールが無い。それに今回はコンビネーションとフリップで二度転倒してしまったので、終わってみれば残っている印象は転倒だけという…

最終グループの第一滑走シュベスチェン。最初のフリップが綺麗に入りました。彼女のジャンプは、本当に高くて綺麗ですよね。そうそう、やっぱり最終グループともなると違うんだよ、と思った瞬間、コンビネーションのルッツで転倒。何と言うことでしょう。それ以上一切崩れてこなかったのは流石と言うべきですが、コンビネーションが入らないのはあまりにも痛いですよね。そんな中で、村主さんの滑走順が回ってきました。彼女を見るのは三回目ですが、前回のNHK杯がボロボロだったし、状況が状況なだけに、観るのは怖かったです。でもこれだけは取り越し苦労でした。ひとつひとつのジャンプが正確に決まっていきましたし、この日はステップにも切れがありました。トレードマークのスピンはもちろん健在、何よりも、滑る喜びが体中から溢れていました。演技の後で、また涙が出てきてしまって、しみじみと思いました。いいものですね!自国に素晴らしい実力を持った、心から応援したいような選手が居て、その選手のためにスタンディングオベーションが出来るということは。この日一番、幸せな瞬間でした。そして反対に、精彩を欠いたのがクワン。前日の予選では、3トゥ+3トゥも決まり、今シーズン最高のスピード、迫力のある演技で、何か吹っ切れたのかなと思っていたのですが、コンビネーションのルッツでステップアウト。その後も、全体に迫力が無いというか、スケーティングの滑らかさが印象に残らない、らしくない演技でした。

続いて恩田さん。オリンピックで失敗している不安が半分、予選の出来が良かった安心が半分でしたが、ジャンプをひとつひとつ綺麗に決めていましたし、予選では細かい振り付けを加えたり、表現力を磨くのに小さな努力をたくさんしている様子が窺い知れましたが、NHK杯で観た時に比べて、スパイラルが随分伸びやかになっていたのが印象的でした。正直、最終グループで見るとやはりまだスケーティングの面で見劣りするんですが、スピードは悪くなかったと思います。それから楽しみにしていたサーシャ・コーエン。マリナ&グェンのファンには懐かしい「
My sweet tender beast」。最初のコンビネーションが綺麗に決まり、フリップは空中で斜めになっていたので心配だったんですが、どうにか着氷、しかし最後のダブルアクセルで転倒。彼女は、姿勢のひとつひとつがびしっと決まって綺麗ですし、インパクトもあるし、確かにスパイラルも綺麗なんですが、今ひとつ訴えかけるものが無かったのは、やはり本調子ではないからでしょうか。それとも彼女が幼いということでしょうか?最後はスルツカヤですが、彼女は最終滑走者に相応しい、最高の演技をしてくれたと思います。ジャンプのひとつひとつが軽やかでしたし、何より滑りがすごく滑らかで、伸びやかだったんです。本来クワンが印象付けてくれる筈のものを、彼女が完璧に見せてくれました。ダイアゴナルステップの流れが、本当に美しかったです。芸術点で6,0がふたつ出ましたが、満点が出る瞬間に立ち会うのは初めてです。すごく、いいものですね。

 

アイスダンスFD

問題はここからでして…最終グループの半ば過ぎまでは良かったんですよ。本当に。有川さんたちもどうにかFDに残ることが出来て、「古事記」をまた観ることが出来ましたし。やはりまだ、ほかの組と比べて技術的に劣っていることは否めませんが、アイスダンサーとしてはとても若いのですし、表現の点では負けていないと思うので、今後の活躍をすごく期待しています。来シーズンは都築さんたちも戻ってくるでしょうし、頑張って欲しいですね。第一グループでほかに印象に残ったのは、演技内容では韓国のヤン&イの「バンブー・ダンス」。振り付けが好みだと言ってしまえばそれまでなんですが、スピード感があって素晴らしかったと思います。それからイタリアのアンセルミ&ペドラッツィーニですが、「Lord of The Dance」でしたね。イタリアでこの曲というと、やはりバーバラたちを思い出しますが、意識しているのかいないのか、同じ曲は一切使わないメドレーにしてありました。中盤に差し掛かったところで転倒がありましたが、その後に動揺が残らなかったのは立派でした。えーと、ほかの三組のことを書いたので、残ったハンガリーのカップルのことも書きますが…えー、私はダンスの曲で、ヴォーカルが目立つのはあまり好きでは無いんですよ。許せるものもあれば、ヴォーカルが大きいからこそのものも稀にありますが、基本的に好きじゃないんです。そういう意味で、このカップルの「ザ・ヘアー」、そして第二グループで滑っていたドイツのカップルの「グリース・メドレー」はいただけなかったんです(ところでこのドイツのカップル、何だか可愛らしい音楽でコミカルに滑っていましたが、まさかカティたちを意識しているんでしょうか?それともただの偶然?)。

第二グループのウォーミングアップの時に、第一グループとはスピードが全然違うことにびっくりしていました(そしてひやっとするようなニアミスが多いことにも)。まず最初はチェコのカップルから。衣装を見ればタンゴだとわかりましたね。「ムーラン・ルージュ」から「ロクサーヌのタンゴ」だったんですが、これもヴォーカルが大きめに入っていましたよね。これは気にならなかったんです。というより、ヴォーカルに聞き入ってしまって、演技の印象があまり残っていないんです。タンゴらしくしようと頑張ってはいたんですが、曲が印象的すぎて、ちょっと負けてしまっていた印象ですね。このグループでは、イタリアのもう一組、ファイエラ&スカリ「四季」が群を抜いていたように思います。スピードとパワー、迫力を感じさせる演技で、本当に良かった。イタリアは来年世界選手権の枠ひとつですが、この二人にも頑張って欲しいものです。あと、やはりヴォーカル入りが許可されているということで、最近どんどんアイスダンスの中でクラシックの使用頻度が下がっているのが、個人的には寂しいので、この二人や中国、アゼルバイジャンのような、ヴォーカルなしのクラシックは、見つけるとほっとします。

第三グループでは、やはりイザベルとオリヴィエ。ハンフリーズ&バラノフのテンポの良さも素敵でしたし、ベルビン&アゴストも、まだ若いのにすごい実力を持ったダンサーだと思います。技術的にも、表現の面でも。でも、私にとってはこのグループは、イザベルとオリヴィエに終始するんです。彼らの「Vivre pour le Meilleur」は大好きなプログラムだし、オリンピックでの転倒があまりにも痛々しかったので。ちょうどその転倒したリフトを過ぎるまでは、祈るような気持ちで全然安心出来なかったんです。でも素晴らしい演技でしたね。これでもかと繰り出されるステップシークエンス、ポジションの美しい大きなリフト、演技全体のドラマチックな雰囲気。オリヴィエのガッツポーズに、じんときました。あと、やっぱりこの二人は、マリナ&グェンの後輩だという気がして仕方ありません。見せ場としてすごく印象的なリフトがあるし、きっちり滑りの美しさを見せるパートもあって、ステップらしいステップは少なめだけど、きっちり印象付ける作りをしている。そんな感じなんです。来シーズンからはいよいよ二人でフランスを背負って立つことになりますが、是非頑張って欲しいと思っています。期待しているカップルのうちひとつですし、ここでディシュネー兄妹→モニオット&ラヴァンシー→マリナ&グェンと続いてきたフランスダンスの流れが途切れてしまうのは寂しいので。

第三グループは、ラング&チェルニシェフから。オリンピックの放送で初めて観ましたが、ひとつひとつのポーズがとても綺麗で、見栄えがする二人です。個人的に、ズーリンの振り付けは大好きなので、このグループは見ていて楽しかったですね。ナフカ&コストマロフの板についたロックも、この二人の流れるような動きも。それからナフカと言えば、気のせいかもしれませんが、ウォーミングアップを観ていて、彼女のスケーティングに驚かされました。一人だけ、伸びが違うと言うか、氷に吸い付くような美しさだったんです。それにしても皆さんおっしゃいますが、ナフカさん細いですね!本当に、どこが一児の母だかと羨ましく思います。この二人も期待しているカップルのひとつ。年齢的にソルトレイク後がピークでしょうし、そろそろ産休のブランクが完全に埋まり、味が出始める頃だと思うので。カティ&レネは、今シーズン、レネの靭帯の故障もあって、十分な練習が出来ていないことと思います。順位もすこし下げてしまったし、五十嵐さんの受け売りですが、難易度もあまり高くないようですし。でもこの二人の演技は、どろっとしたところがなくて、純粋に明るく楽しそうな雰囲気があって、とても好きです。それにカティの可愛いこと。ゴージャスな美女なのに、レネとこの衣装を着ていると、本当に可愛いんです。

デュブレイユ&ローゾンの「蝶々夫人」もお気に入りのナンバー。この二人は、とにかく回転が速くて、テンポが早い。ペアスピンまがいのダンススピンがあったり、リフトも大きくてアクロバティック。有川さんたちの「古事記」もそうですが、これも何だかジャポニズムなプログラムですよね。間違った東洋を全開にしているというか。それはそれで、苦笑しつつも面白いです。いっそ気持ちよく間違ってくれているので。それにこのプログラム、リフトのひとつひとつや全体の流れに澱みが無くて、本当に綺麗なので。グルシナ&ゴンチャロフのバルセロナは、やはりオリンピックの時と同様、終盤でちょっとばてていた感じですが、パワーがあって綺麗でした。それと私はこの曲は聞き慣れているので、どこでどう切ってくっつけているか全部わかってしまうのですが、何も知らずに聞いていて、どんな印象なんでしょうね?

最終グループ。やっぱりこのグループは、実力が違うと言うか、雰囲気が違うし、スケーティングも全然違う、圧倒されるような感じでした。第二グループと同じでウォーミングアップ中のニアミスなんかももちろんあるんですが、まったく危なげない。そこが上手さの一端なんですね。最初はロバチェワさんたちから。期待していたより、ちょっとスピードが無い気もしましたが、後でスクリーンで観ているとそうでもないので、きっと見ている角度の問題でしょう。アグレッシヴでスピードがあって、ひとつひとつの動きも、全体の流れもとても綺麗でした。ステップ、トゥイズル、リフト、スケーティング、本当にどこをとっても最高レベルの美しさで、チャンピオンに相応しい演技だったと思います。ただ、得点はやはり低めでしたね。ソルトレイクでのグェンたちとほぼ同じ。第一滑走というのは、そういうものです。続いてチャイト&サフノフスキー。このカップルは、今シーズン本当に上手くなったと思います。滑りがスムーズで、本当によく滑れていました。得点もそれに見合った高さで、これはすこしでも欠点のある演技をすると、バナさんたちが危ないぞ、と思っていました。続くデンコワ&スタヴィスキーも素晴らしい出来でした。この二人の持つ独特の雰囲気は、ドラマチック系の多いトップのカップルの中に混ざると、本当に素敵なアクセントになりますね。曲調も、衣装も、振り付けも何もかも。オリンピックでは、NHK杯よりずっとスピードが出ているなと感心しましたが、ここでは更に凄かった!そこまで持ってくる努力といい、モチベーションといい、凄いですね!

それからバナさんたち。彼らの今シーズン最高の滑りは、多分オリンピックのFDだったと思いますが、それにも迫る、素晴らしい演技でした。アイスダンスで、純粋に演技で泣けたのはこの二人だけです。当然、私が感動する演技の系統は存在するので、判断基準にはならないかもしれませんが、好きな演技でも、何か出来の悪いところがあると、素直に泣けてこないものです。イスラエルと比べてどっちが勝っていたか、私はジャッジではないし、冷静な判断も下せません。でも、すくなくとも芸術点で
5,5をつけられるような演技ではなかったと思います。これで5,75,8が半々くらいで負けたのなら、多分すこし時間をかけて、納得したと思います。ただ、どう見てもあの得点は低すぎました。バナさんとリタさんにとっては、訪れ慣れた日本、大勢のファンの前で、最後に表彰台に上がりたかったことでしょう。スポーツですし、勝ち負けは付き物です。採点競技ですから、素人にはわからない部分で得点が左右されることもあります。どうなるかわからない、その部分こそ、醍醐味なのでしょう。それに何より結果は受け入れるより仕方の無いもの。今ならすこし頭も冷えて、そう思えますが、その時はあんまり悔しくて、帰りの新幹線の中で泣きました。でも仕方ないですよね。くどいようですが、スポーツなんです。応援をしていれば、何度でもこういうことがある。大人にならなければ。そう思います。えーと、それからボーン&クラーツですが、実は私、電車の時間の関係で、観られませんでした。せっかく観に行ったのに、何て勿体無い…
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